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「弱者の戦略」をとる日向坂46は、アイドルの卒業文化を無くすかもしれない

こんばんは。
このノートは、欅坂46/櫻坂46をこよなく愛するIT大手の新規事業担当が、事業やマーケティングの視点から櫻坂46やその周辺を考察するノートです。

今回は、トップ画像の日向坂46・影山優佳さんが取り上げられている「スポーツナビ」のニュース記事を見て、日向坂46のマーケティングは、「弱者の戦略」とも言われるランチェスター戦略・スモールマスをベースにしているのでは?と考えるに至ったので、そのことについて書きます。

そして、この戦略をブラッシュアップすることで、「ひょっとしたらネクストステップを卒業以外で用意できる、全く新しいアイドルグループになれるのでは?」と期待が膨らんだので、その点についても触れます。

端的に内容をまとめると

・大きな敵を倒すには、局地戦に注力して小さなwinを重ねていくことが大切で、その流れが直近数年で急速に強まっている
・日向坂46は、適度に大きいけど「マス」までは至らない局地戦(サッカーやバスケットボールなど)で確実に勝ってきた
・日向坂46の戦略は「卒業」の必要性を無くしアイドルの寿命を延ばすかもしれない

という内容になります。以下詳細です。

なぜ彼女たちはニッチを攻めるのか?

「神スイング・・・!!」
2015年のこのCMがきっかけとなって、グラビアアイドルの稲村亜美さんは一躍時の人となりました。今となっては珍しくないのですが、当時はグラビアアイドル×野球が空いていて、そこを見事に突いた戦略だと思います。

一方、日向坂46のキャプテン佐々木久美さんは初期から熱烈な矢野謙次・読売巨人軍(ジャイアンツ)ファンであることを公言し、冠番組でもネタを披露しています。「野球」ではなく「巨人ファン」であることが大事です。ちなみに彼女のデビューは2016年です。

同じく、日向坂46の渡邉美穂さんはバスケ経験者であることを活かして、初期からバスケをする姿を番組で披露し、現在ではWebテレビでバスケの番組を持っていたりしますよね。ちなみに彼女のデビューは2017年です。

何故彼女たちはニッチを攻めたのでしょうか。
自ら露出を増やすために機会を求めて頑張ったから?

これは大きなマーケティング戦略の一環だと思うのです。
それを語る前に、まず「弱者の戦略」で語られることが多いランチェスター戦略について記載をしていきます。

弱者は「局地戦」で戦うべし(ランチェスター戦略)

詳しい話は↑に貼った中田敦彦さんの動画で解説されていますが、ランチェスター戦略というものがあります。

エッセンスだけまとめると

・弱者は、強者とそのまま戦うと負けるので局地戦を仕掛ける必要がある
・局地戦にすることでリソースの非対称性を軽減できる環境を整える
・その上で、自身に有利な環境となるような「奇襲」「一点集中」をすべし

というような内容です。(実は強者にも示唆がある内容が多いのですが、一旦ライトなまとめにします)

既にAKB48グループや乃木坂46など、絶対的な人気アイドルグループがいる中でデビューを果たした「けやき坂/日向坂46」は、そのまま戦っては勝てません。

ランチェスター戦略を応用すると、
①大前提として自身の強みを活かせて
それなりの大きさがあって、アイドルファンと親和性のある市場で
③なんとか勝ち切る見込みのある市場
で局地戦を仕掛けていくことが良い、ということになります。

2016年当時、神スイング・稲村亜美さんが「野球」がアイドルのファン層と近いことを証明したなか、「②もう少し小さいけど十分大きいサイズ」で「③まだ絶対的なアイドルが固定枠で居ない」を見ていくと、、、

そうです!
恐らく球団で最も動員力がある「巨人ファン」という戦域が見えてきますよね。

野球と同様にバスケットボールを考えると、
「③は競技全域で良さそう」で、「②は、千葉ジェッツなどの個別チームでは無くて、競技全体に広げたほうが良さそう」となりますよね。

ちなみに、欅坂46/櫻坂46の「ゆっかー」こと菅井友香さんは馬術という市場で強みを持っていますが、②の「市場の大きさ」で十分な威力が発揮されているのか若干はてなです。

では、「ニッチを狙えばいいんだ!」というとそれだけではありません
事業として大きくするためには、「スモールマス」という概念も必要になります。

意味のあるニッチで戦う(スモールマス)

はい。こちらは剣道部で活躍していた日向坂46/丹生明里さんです。(可愛い・・・)

剣道も、どの学校にも剣道部があり一定の大きさはありそうで「剣道アイドル」で絶対的なアイドルは存在しないので、局地戦を行うには良さそうな気がしますよね。ただ、最近の丹生明里さんの露出を見る限り、剣道を推しているようには見えません。

なぜでしょう。

剣道での局地戦は成果につながらないからではないでしょうか。
ニッチは所詮ニッチなので、捕まえたニッチに高効率で日向坂46としての活動も宣伝できて、かつアピールし続けられるコンテンツが無いと意味がないです。

それを可能にするのが「スモールマス」という概念です。

スマホとSNSの普及で生活者のニーズは実に細分化しています。
したがって「ニッチ」も多く生まれていますが、その全てに対応していては商品企画が追い付かないですし、オーダーメイドに近いほど収益効率は低くなっていきます。

そこで何をするかというと、
「高効率にリーチし続けうる方法(チャネル)」
「(他社との協業含め)提供可能な広告コンテンツ種」の掛け算
の広告主視点で対応するニーズの細分化を止めターゲットを再定義します。
※私が理解するに、これがスモールマス戦略の本質的な部分だと思います。

分かりやすい例で言えば、

インターネット検索で「くせ毛」というワードは調べる人は多く、
CMなどのブランドに起用するタレントで年齢を区切れるので、
「20代のくせ毛ケアに」というシャンプーは作れますが、

「グレイヘアと抜け毛が進行している」「70代」は、
インターネットでの検索ができないためピンポイントに広告が打てず、
抜け毛が進行していることが分かるタレントもいないため、
「ちょっと髪の毛が気になる70代へ」というシャンプーは作れません。

これを剣道に当てはめると、
剣道をしている人・剣道ファンにリーチする方法はほぼ無く、
実業団のような協力的な他社も存在しないため、
スモールマスには該当せず、局地戦をすべき対象ではないという結論になります。

戦うべき「局地」を探索する日向坂46

はい、動画は若干ビジネス寄りのバラエティ番組「みえる」のMCを務めている日向坂46キャプテン・佐々木久美さんです。

こうした姿を見ていると、日向坂46は「ランチェスター戦略」と「スモールマス」から見つけた戦うべき「局地」の仮説を次々に検証しているように見えます。

例えば、金村美玖さん、丹生明里さん、渡邉美穂さんが出たeスポーツ番組もそうですし

例えば、佐々木久美さん、高本彩花さんが出た車好きが見る雑誌「car top」もそうですよね。

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以前のnoteで考察したように、欅坂46/櫻坂46がABテストでグループのカラーと楽曲のスタイルを決めるグループであるならば、

日向坂46は、ファン獲得のチャネル(戦うべき局地)をABテストしながら拡大していくグループであると言えるのかもしれません。

しかし、ここで1つ疑問があります。
局地戦は「けやき坂」時代には弱者として取らざるを得なかった戦略ですが、既にバラエティ露出がかなり多い日向坂46が未だに局地戦を続ける意義は何処にあるのでしょうか。

私が考察して面白いと感じたのは、この局地戦戦略は、アイドルの宿命「卒業」を遅らせる・無くすことのできる神の一手なんじゃないか、という点です。

最後にこの点を考察して終わります。

局地戦はアイドルの「卒業」を無くすかもしれない

はい。こちらは先日欅坂46を卒業された佐藤詩織さんの動画です。武蔵野美術大学を卒業し、アートの道に本格的に進まれるため卒業しました。

スキャンダルでの卒業は置いておいて、多くの魅力的なアイドルが「次のステップへ」という理由でグループを卒業していきますよね。

なぜ「次のステップ」へ進むために卒業しなければいけないのでしょうか。
それはアイドルグループのメディア戦略が、「バラエティ」「歌番組」のマス向けプロモーションに寄っていて、それゆえ次のステップに専念できないからではないかと考えます。

しかし、局地戦の考え方を応用すると、卒業はもはや必要ないのでは?とも思います。

戦うべき局地と、自身がやりたいことが合致しさえすれば、その局地で自由に活動することはグループのためにもなります。
私が目下とても懸念しているのが欅坂46/櫻坂46のキャプテン・菅井友香さんが卒業してしまうことなのですが、彼女も次のステージを戦うべき局地で見つけてくれれば、卒業せずとも活動できるのではと思います。

良い例が元HKT48のゆうこすこと、菅本裕子さんです。

一種のビジネス系インフルエンサーとして活躍されていますが、この活動ってHKT48に所属しながらでも十分可能ですよね。

良くも悪くもAKB48グループが作り上げた「アンダーグループ」に対しての「殿堂入りグループ」のような形で組織上の半分割が図れさえすれば、局地戦するメンバーをグループにつなぎとめておくことが十分可能なんじゃないか。

日向坂46が未だに局地を探索する姿を見て、そんなことを妄想しておりました。

以上となります。お読みいただき、ありがとうございました。
バックナンバーは以下になります。もしよかったら読んでみてください。


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