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暗君か名君か、矛盾だらけのシャルル七世:褒めているのか貶しているのかw

カクヨムにて『歴史家たちのポジショントーク:暗君か名君か、矛盾だらけのシャルル七世』を新規投稿しました。

あらすじ:各時代の歴史書に書かれている「フランス王シャルル七世」の評価が乱高下しすぎで面白かったので、歴史家たちのポジショントークの移り変わりをまとめました。

noteでは紹介を兼ねて、本日の更新分から一部引用します。

 ベンヤミン・ジェラールとジュール・キシェラは、19世紀を代表する歴史学者で、フランス国立古文書学校(École des chartes)の理事を務めている。この矛盾だらけのテーマ——シャルル七世について、二人の碩学はどう見ているだろう。

 銀行員から歴史学者に転向したジェラールは、修道院が所蔵する膨大かつ貴重な古文書をいくつも刊行し、多くの歴史家たちが彼の仕事の恩恵にあずかっている。9世紀の住民台帳『ポリプティク・イルミノン(Polyptique d’lrminon)』を整理したまじめな編集者は、シャルル七世について次のように語っている。

————————————
 シャルル七世の治世下で、王権は至るところに浸透し、勝利を収めた。

 現代の歴史家はこの王子に高い評価を与えていないが、権力の二大基盤である財政と武器は、シャルル七世の時代に「公的な税制」と「常備軍の創設」によって確実に保証されるようになった……。

 フランスには多額の歳入があり、すべてのニーズを満たすために十分な財政組織があった。

 また、シャルル七世は、攻撃も防衛もいつでも対応できる常備軍を持つことで、古い封建制を終わらせ、武装兵は恒久的な仕事と固定給を手に入れることができた。

19世紀半ば(6)アカデミーの歴史家——ジェラール、キシェラ - 歴史家たちのポジショントーク:暗君か名君か、矛盾だらけのシャルル七世(しんの(C.Clarté)) - カクヨム


ここで言う「現代の歴史家」は19世紀半ばですが、
170年以上経過した21世紀現在のシャルル七世評もそれほど変わってない(高い評価を与えていない)のが残念極まりない…😢

そして、後半のキシェラ。
シャルル七世に対して辛口(原文を直訳すると「敵意がある」)なことでよく知られているらしいのですが…


 シャルル七世は、王位を向上させた数少ない王子の一人である。
 しかし、治世の初めは、のちに示すような美徳を備えていなかった。なぜなら、彼は美徳の芽を持ってはいたものの、生まれながらの欠点、特に生い立ちからくる悪影響によって、その美徳を損なってしまったからである。

------(中略)------

 このことが、自分自身に対する大きな不信感と、自分の名のもとに行われた犯罪の恐怖と相まって、
シャルル七世は君主として適性があるにもかかわらず無気力になり、頭の良さにもかかわらず状況を理解しようとせず優しい性格にもかかわらず陰険で頑固になってしまった。

19世紀半ば(6)アカデミーの歴史家——ジェラール、キシェラ - 歴史家たちのポジショントーク:暗君か名君か、矛盾だらけのシャルル七世(しんの(C.Clarté)) - カクヨム
  • 君主として適性があるのに無気力

  • 頭が良いのに状況を理解しようとしない

  • 優しい性格なのに陰険で頑固

褒めているのか貶しているのかわからないなw
ただのバカではないけれど、名君だったと言い切れない。
屈折したキャラクターの複雑な内面が浮き彫りになってきますね。

矛盾しているのは「歴史家の評価」だけじゃない。
シャルル七世自身が「矛盾した人格」を備えている。そんな印象。

続きはカクヨムにて。

★評価や♡イイネをいただけると作品の後押しになります。
よろしくお願いします!



自著の紹介

既刊:デュマ・フィスの未邦訳小説『トリスタン・ル・ルー』

2022年10月21日、シャルル七世即位600周年記念にリリースしました。
Kindle版(電子書籍)とペーパーバック版があります。

新刊:『十九世紀の異端科学者はかく語る』

ジョン・ラボック著『The Pleasures of Life』第一部を翻訳・書籍化しました。訳者・序文で「ダーウィンとラボックの師弟関係」を書き下ろし。

web小説『7番目のシャルル』シリーズ

シャルル七世が主人公の小説(少年期編青年期編)連載中。


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