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30. 【映画編】マネー・ショート 華麗なる大逆転 〜リーマンショックを予見した変人たち〜②

Buongiorno a tutti!

前回の続きで、2008年のリーマンショックについてお話ししていきます。
(前回の投稿を読んでいない方はこちらをどうぞ。)

今回はリーマンショックの概要からお話ししていきます。

・リーマンショックとは?

2007年から2008年にかけてアメリカの住宅市場で起きた金融恐慌のことです。
今の30代半ばの人たちはリーマンショックのせいで就職に影響が出た人たちもたくさんいるかと思います。

多くの人に影響を及ぼし、ひいては世界経済をも停滞させたリーマンショックですが、どうやって起きたのかをご存知の人は意外と少ないのではないでしょうか。
この辺りもファイナンシャルリテラシーがあるかないかで大きく関心が変わってくると思います。

・原因となったサブプライムローン

みなさんはサブプライムローンという言葉を聞いたことがありますか?
アメリカのローンの一種なのですが、英語ではsubprime lendingといいます。
これはかっこつけるためにわざわざ英語で書いたのではありません。笑
英語の接頭辞でsubとは「下の」と言う意味を持ちます。
つまり、信用がありローンを低金利で借りられる人たちをプライム層、そしてプライム層に入れなかった人をサブプライム層と区別していて、そのサブプライム層向けの住宅ローンをサブプライムローンと呼びます。

プライム層に入れなかった人たちが借りることのできるサブプライムローンとはどのようなものか想像がつきますか?
これはローン一般で言えることですが、信用が少ない人が借りることのできるローンは利息が高くなります。
例えば、同じお金を借りるのでも、信用のある人=返済が問題なさそうな人ならば年利5%、返済ができないリスクが高い人には年利10%、のように利息がどんどん高くなっていきます。
また利息は複利的に支払額が増えていくところも注意しなければなりません。
単利・複利については興味がある方は調べていただきたいのですが、ローンにはさまざまな落とし穴があると言うことには気をつけなければなりません。

・どうして誰もバブルに気付けなかったのか

そして当時のアメリカにおいて不動産の価格は上がり続けており、住宅ローンは崩れないという、まさに日本のバブルにおける土地神話のような状態になっていました。
しかし実態は、上記のようにローンを返済できるかどうか分からない貸倒れのリスクが高い人たちに住宅ローンを組ませ、しかもそのローンをMBS(不動産抵当証券)という金融商品として市場にばら撒いていたのでした。

映画の中ではこれを巧妙な例えで表していました。

レストランで仕入れた魚が質の悪いものだった

捨てるのは勿体無い

そのままメイン料理には使えないので他の魚と一緒にスープに入れた

新たな料理として提供できるようになった

サブプライムローンはまさしく質の悪い魚、そしてそれをMBSというスープに巧妙に隠して販売していたのです。

不動産の価格に下支えされたこのMBSは、他の商品と共にパッケージで売られ、投資銀行やヘッジファンドでさえMBSを買っている意識がなかったと言われています。
当然、不動産バブルがはじけるとサブプライム層は債務不履行となり、MBSの信用も失墜、このMBSは不良債権となります。
そうして多額の負債を抱えた投資銀行やヘッジファンドが経営破綻、これをきっかけに世界的な経済危機へと発展していきます。

次回、これらの事前知識を踏まえて映画の見どころを紹介していきます!

Grazie mille e alla prossima volta!

☆今日のうんちく☆
世界初のバブルはどこで起きたかご存知ですか?

17世紀にオランダで起こったものが世界初と言われています。
その名もチューリップバブル!
当時チューリップの球根の価格が急騰し、投機商品として扱われている中で、ある日突然取引停止により価格が急落したと言われています。
(当時の情報があまり残っていないため、確実ではないそうですが。)
チューリップの球根を空売りや先物取引していたなんて今では考えられませんが、人間がいかに虚構を信じることができるのかわかるような逸話ですね。。

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