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【レポ】“ティールは目指すものじゃない”「ティール組織」解説者の嘉村さんの話を聞いてきた

こんにちは!しのぶんです。今日は、自然経営研究会のMonthly Conferenceで、書籍「ティール組織」の監修をされた嘉村賢州さんのお話を聞いてきましたので、その内容をレポします!!内容が面白すぎて、若干興奮していますw

ティールは正解じゃない

モデレーターの山田さん(自然経営研究会発起人)より、
「どうしても組織の発達段階と聞くと、『上の発達段階にいかないと』『目指さないと』みたいになってしまいがちですが、そこらへんはどうでしょう?」という質問。

そこに対し、「ティールは正解でもなんでもないですね」という嘉村さんの解答。

「ティール組織」著者のフレデリック・ラルーさんを嘉村さんが訪ねた際に上記の質問をした時は、「ティールは目指すものでも正解でもない。現代でティール組織を実現するのは難しいかもしれない。今の時代だとグリーンの方がやりやすいし売上も上がるかも」というコメントで、その質問が出たこと自体に驚いた様子だったそう。

「ただ今の時代に少しずつ出始めている新しい組織のあり方、そういう組織が出てきたという事実を記載しただけで、目指すものという意識では書いていない」とのコメントだったそう。

どうしても発達段階として色分けしてしまうと上位の発達の方が偉いように思って目指したくなると思いますが、そもそもそういうものじゃない、そういうパラダイムじゃない、ということなのかなと思いました。やはり、深い。。

グリーンの罠に注意ーキャンプファイヤーモデルとは?

「グリーンの罠」というものがあるのだそう。それを、「キャンプファイヤーモデル」というのだとか。

▼「キャンプファイヤーモデル」の解説記事はこちら

まずは、オレンジ組織の特徴として、
・最大の発明は能力主義
・役職があり、「社長」と「従業員」という関係
・スキルで当てはめて人を機械のように捉える

一方でグリーンの特徴は、
・お互いをニックネームなどで呼び合い、雑談でざっくばらんに話せる
・スキルよりカルチャーを重視している

といったことがあげられ、グリーンはオレンジよりも幸せに働けそうな印象ですが、弊害もあるとのこと。

キャンプファイヤーモデルとは、「外が暗闇でキャンプファイヤーがあると、明るかったり暖かかったりと多くのメリットが享受できる。それと一緒で、組織の一体感やカルチャーや理念から得られるメリットがありつつ、外は暗闇で何があるか分からない。敵がいるかもしれないし、宝があるかもしれない。なので、外に出ようとすると『異端児』として扱われる。そのため、新しい組織形態を作ることを阻んでしまう状態」のことを言うのだとか。

グリーンを極めることが、ティールへの移行を阻んでしまうということですね。

上記は、「グリーンの罠」にはまっているサイン4つ。

・ひたすら会議が多い
・行動に後押しが必要になる
・課題解決が混乱(多様な意見)
・熱量の低い様々なプロジェクトに溢れる

やたら対話の時間を持ち会議が増えるけど決まらなかったり、何かをやる時に周りの意見を求めすぎて「いいね!」という後押しがないと行動に移せないことが多かったり。または、「課題を洗い出そう」と言って様々な角度から意見が出てそれを全部生かそうとして、最終誰の想いも乗っていない「やることリスト」だけが残ってタスクを振り分けることになったり。その結果、熱量の低いプロジェクトが乱立したら要注意、とのこと。

優秀じゃなきゃティールってできないの?

次も、巷に溢れるこちらの疑問。

「ティール組織って、優秀な人じゃなきゃできないんでしょ?」

これは、「パフォーマンス残せないと組織に残れないよね?」というオレンジパラダイムの現れでもある。ティールパラダイムであれば、どんな自分を出しても安心安全で、その環境で自分のミッションに没頭してコミットする、という状態になる。優秀な人の集まりは、ただの自己組織化した組織であり、ティール組織ではない。

ただ、成人発達理論(インテグラル理論)でよりレイヤーが上層の人が集まれば集まるほど、混乱が少なくティール化できる、とのことでした。

マネージャーをなくせばいい、というものではない

マネージャーをなくせばいいというものでもないし、なくすことが間違いでもない。ただ、「マネージャーをなくしてうまくいかなかったんだよねー。やっぱうちには合わないねー」という組織が多く、もったいないという印象とのこと。

オレンジ組織では階層が上がるほど給与が高くなり、現場の仕事の方が自分に合っていても、世間の評価や給与で管理側に回らざるを得ないケースも多い。そのようなパラダイムのまま階層だけなくしても、混乱するのは当たり前。階層をなくしてもなんとなくうまくいく組織があるとすれば、それは「グリーンもどき」のようなものだそう。「すごく人柄がよくていろいろ任せてくれる」というスタイルのトップダウンになっただけ。

組織においては、
・幅広い視野で判断ができる人
・現場で専門的に作業する人
どちらも必要。ティールでは、そこに上下の階層を設けず、どちらも対等に存在する。

規模が大きくてもティールってできるの?

こちらもたくさん議論されているテーマ。
この疑問に対しては嘉村さんは明確な考えはお持ちでないとのことでしたが、「ティール組織」の書籍で事例としてあげられている「ビュートゾルフ」という会社では、階層は存在せずチームが全てフラットに並列しており、メンバー一人ひとりにiPadが支給されていてテクノロジーの力でマネジメント機能を代替しているとのことでした。

ティールの先に僕が描いている世界

今のティールの組織論において、いろいろな組織を見る中で2つの矛盾を感じているとのこと。

①現場からボトムアップがあっても、社長が「なんか理念と違う」と弾いてしまうケースが多い。それでは社長のイエスマンしか残らない。現場の声が理念で弾かれるのは、どうなんだろう
②イノベーティブなアイデアは、そもそも共感されづらい。でも強制し始めた瞬間にヒエラルキー組織になる。そこの間で矛盾が生まれているのでは

そこの矛盾を超えて描いている未来像として、「組織を超えて生態系のようなコミュニティになっていく」というイメージがあるのだそう。シンプルな理念の会社があり、複数の会社やフリーランス集団が1つの生態系のようなコミュニティを作る。ボトムアップでやりたいことができた人は、自分の会社に対してではなく生態系にアイデアを投げ、共感した人が資本を提供し、試してみる。事業として走り出せそうであれば、元の会社で立ち上げるのか、他の会社で立ち上げるのか、はたまた新しい会社を作るのかをジャッジする。そのように、会社は「生態系コミュニティ」の一部となっていくのでは、とのことでした。

まとめ

書籍がヒットし、「ティール」という言葉だけが流行っている印象も否めないなぁと思っていましたが、これはただの組織論ではなく、明確な正解でもなく、もっと考え方の根底に関わるもの、パラダイムや人間観のようなものに近いなぁと感じています。

著者のフレデリック・ラルーさんの人柄のお話を聞けたのも面白かったです。(今は家族との時間を大切にしたいらしく、メールは全て自動返信で「1週間返信がなかったらNOだと思ってほしい。世界中にティールを実践している人たちがいるから、その人たちにぜひ聞いてみてね」という返信が帰ってくるのだとか)

はぁ、面白かった。今後も、ティールの研究を趣味として続けていきますw


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