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この楽天主義のロシア人め!

ゴルゴ13を読むまでもなく、1980年代は「ソ連人は冷血漢」というイメージだった。
けれど、実際知り合ったロシア人は、えらい楽天的で明るくて
「なぜに寒い国のひとなのに、ラテン人のように明るいのか?」
と思ったものだけれど、深く知るにつれ、
「情報統制、告げ口、深刻な物資不足…苦しい生活のなか、楽天的でないとやっていられないのではないだろうか。それは、南方のひとの明るさではなく、厳しさから発生した、ヨーロッパ的どこか暗さを抱えた明るさではないだろうか」
と思うようになりました。

そして、ロシア人のなかでも、夫は楽天家度が突出している気がしています。

きょう日曜日は大丸であった「みちのくイベント」に娘と出かけ、「仙台タン三昧定食」を食べました。
同じ値段だったら、好みだった塩タン一色の「仙台タン定食」にすればよかった~、と思ってしまったのはさて置いて、食後にさらっとイベントフロアを歩き回ると「ロシアハウス」という福島の、日本人と結婚して運営しているらしいターニャさんというロシア女性の店を見つけ、ピロシキ、ボルシチ、ブリヌイを買って帰りました。

夫によると、ボルシチは「かなり美味しい」。ピロシキは、「マリちゃんが作るほうがおいしい」、ブリン(一個なので。ブリヌイは複数形)は「ブリンらしい。かなり美味しい」。
「総合して、かなり高い料理レベル。それ以上はもっと高いレベル、そのうえにマリちゃんの料理。ぼくはうるさいかもしれないけど、料理の質を高めるためには必要なことなんだよ」

こここ、こいつめ。

つい先週の金曜日、晩御飯を食べようとした夫が
わたしが用意した2品について
「一品は健康にはいいかもしれないけれど、食べる気がしない。
もう一品は、おいしそうだが自分の(脂っこいものを食べると腹痛がする)状態には合わない気がする」
と言ったのでついにキレて叫んだのでした。

「あのさー、文句言うなら自分で自分の食べるもの用意してくれる?!
こないだわたしが病気のとき、
みんなそれぞれ自分の食べるものを見つけて食べてくれたけど、
わたしの食べるものは気にしてくれなくて、
そりゃお願いしたら買物には行ってくれたけど、
病気なのにわたしは自分で自分の食べるものを用意した。
いまだって、完全に治ってないのに
まだしんどいときから頑張ってみんなの分のごはん用意してるのに
やれあれ作ってだの、きのうだってちょっとだけでいいからこれ見て、
とか自分が作って欲しいロシア料理のレシピ動画みせるし
身体にいいものを作れば食べたくないと言い、
好きそうなものを作れば身体によくないという。
夏から、空腹時と脂っこいものを食べたりしたらお腹が痛くなると訴えて
病院いかなきゃ、といいつつ怖がって行かないくせに
こちらにはつくる食事に気をつけろとか おいしいもの作れとか
いい加減にしろ!!!」

夫はふだんから、料理へのリクエストがうるさいのです。
煮物はいっさい食べないし(それはわたしも好きではないのでいいのですが)ほぼすべての和食を食べない。よって我が家はほぼ洋食、
夫は食べないけれど、わたしや娘のためにたまに和食つくる程度。
夫は、気に入らないものは一切手を付けない。
一緒になった当初は、彼の求めるロシア料理をリクエストに応じて作ろうとしても自分が食べたことがないので、目指す味がわからないけれど
「なにか違う」
という夫に
「なにが違うの どう修正したらいいの」
と問うても
「わからない 食べるの専門だから」
というので苦労しました。

ロシア料理本にならって作ってみたり、
旧ソ連圏の女性に教えてもらって作ったり
実際にロシアに行って食して目指すべき味を体感したりして
ようやく、すこしずつ、夫が求める料理が作れるようになり
23年たったいまでは、
「マリちゃんの料理は、日本にあるロシアンレストランより美味しい」
と言ってくれるほどになりましたが、いまだにいろいろ文句やリクエスト言ってきます。
ほんで、わたしが小爆発を起こして。

今回、わたしが吠えてから夫はしゅ~んとなりましたが、
わたしは活火山となり、娘に愚痴をぐちぐち言いながら
「もういっそ、『同居』とか、住居をシェアしてる状態にして
家賃と光熱費を払い、みなそれぞれ食事は自分のお金で自分で用意して
洗濯も洗い物も自分でしたらいいんちゃう!
いや、いっそのこともう離婚して狭い部屋でもいいから猫と引っ越して
自由になったほうがいいんちゃう!いまのわたしの給料だったら、一人暮らしできるはずだし」
と、すごい勢いでペット可の物件をググりだしました。

​結果、求めるエリアでは1DKや1LDKで安くても7~8万なので
まだこの家に住み続けて「シェア」としたほうが、広くて快適かも。
などなど考え。

いちお、翌日病院に行くために金曜夜にシャワー浴びて髭そって、
土曜日も朝はやめに起きて待っていたので「しゃーないな」と夫を連れて病院行き、いちお、しゃべりはじめましたが
病院から帰ってきたら、また調子に乗って
「あのレシピが」
とか、こりずに言い出しおる。
そしてまたわたしに怒られてシュンとなってる。

しかし、きょうのロシア料理でまた調子にのって
「ぼくはうるさいかもしれないけど、料理の質を高めるためには必要なことなんだよ。なんでも苦難の積み重ねで上達するものだ。ぼくがうるさいお蔭で、マリちゃんの腕は上達したんだ」
などと言うものですから、また腹が立ってきて
金曜夜にこんなこと考えた!
とシェアハウス化の話をしたら、心配そうに

「でもそれって、君がつらいんじゃない?」

はぁ?どこまで楽天家なんだ!

と笑いだして、喧嘩はおしまいとなりました。

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