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長編小説「出涸らしのティーバッグ」

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「澪標」鈴木澪が、海宝航と別れた後、コロナ禍で婚活を開始します。制約のある状況下で、相手とオンラインでの対話を重ねながら、澪は自分が求めているものを明らかにします。
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記事一覧

連載小説「出涸らしのティーバッグ」第9話

9-1  私の週末が試験会場の視察で埋まってしまい、理央さんに会いに行けないまま時間だけが…

may_citrus
10か月前
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連載小説「出涸らしのティーバッグ」第8話

8-1  ラヴェンダー色に染まる空は美しいが、陽が落ちても気温が下がらない日は憂鬱だ。夕食…

may_citrus
10か月前
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連載小説「出涸らしのティーバッグ」第7話

7-1 「それなら、鈴木がいいと思いますよ。そうです、鈴木澪です」  透明のアクリル板に囲ま…

may_citrus
10か月前
99

連載小説「出涸らしのティーバッグ」第6話

6-1  トーニオさんから、しばらく返信がない。追加でメッセージを送ろうと何度も思った。だ…

may_citrus
10か月前
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連載小説「出涸らしのティーバッグ」第5話

5-1  2021年4月25日に、3回目の緊急事態宣言が発令されてから、延長や対象地域の拡大が繰り…

may_citrus
10か月前
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連載小説「出涸らしのティーバッグ」第4話

4-1  3月末に彩子が退職してから、彼女の仕事を引き継いだ。それに加え、ソーシャルディスタ…

may_citrus
10か月前
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連載小説「出涸らしのティーバッグ」第3話

3-1  真っ先に返信してくれたのは理央さんだ。限られた情報しかない状況下で、早い返信は相手が確かに存在すると実感させてくれる。 3-2  夜になって、トーニオさんから返信が来た。  理央さんのメッセージに陽光が注ぐような明るさがある一方で、トーニオさんのメッセージには陰影とユーモアが潜んでいる。この個性は人物そのものを映しだしているのか、電話で声を聞いたり、顔を合わせて話したらイメージが覆るのか想像が広がっていく。  トーニオさんの教えてくれたサイトにアクセスすると

連載小説「出涸らしのティーバッグ」第2話

2-1  夕食後に黒豆茶を味わうのは至福の時間だ。壁に背を預けてベッドに体育座りをし、湯気…

may_citrus
10か月前
89

連載小説「出涸らしのティーバッグ」第1話

1-1  カーテンの隙間から朝日が一筋射している。額を温める春の陽に、私は目を閉じたまま眉…

may_citrus
10か月前
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