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『成瀬は天下を取りにいく』と『コンビニ人間』

今年の本屋大賞受賞『成瀬は天下を取りにいく』と、2016年芥川賞受賞『コンビニ人間』、いずれも自分の心に深く突き刺さりました。


いやもう、両作とも本当に好きなのですよ。


テーマも物語のトーンも全く違う2作。物語のトーンでいったら、成瀬は天下を取りにいくは「陽」全開、コンビニ人間は1周回って笑ってしまうくらいの突き抜けた「陰」です。


内容正反対の2作ですけど、刺さったポイントは意外と共通しています。


それが「世間からズレた主人公が、世間とズレたまま自分の信じた道を進む」です。


成瀬は天下を取りにいくは、変わり者の主人公成瀬が自分の信じた謎ルールでたくさんの人を巻き込んでハッピーになっていく物語。

コンビニ人間は、コンビニで働く「普通じゃない」女性主人公が、一度はコンビニを離れて「普通に」就職することを目指すものの、最後はまたコンビニ店員に戻る物語。


物語の雰囲気は違えど、「普通」とか「世間」とか、そういったものと自分自身の距離みたいなことを考えさせられる。



自分自身がそういった「普通」とか「世間」にそうしても流されがちな性格なので、そこに迎合しない登場人物や物語により惹かれてしまうのかなと。



そもそもが「ズレてる」って表現の時点で世間とか普通とかに基準を合わせてしまっているわけで。本当は「自分」に集中すべきなのに。


コンビニ人間のラスト、バッドエンドだとか哀れな結末とか捉える人もいますけど、そこは人それぞれのものさしでのハッピーエンドに向かえばよいのだなあと。


なにせ2作ともかなりサクッと読める作品なので、自分の人生に集中したい人は是非読んでみてください。

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