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読書記録『銭湯から広げるまちづくり』

東京高円寺に小杉湯という名物銭湯があります。


自分も好きで何度か行ったことがあるのですが、小杉湯では銭湯の枠を超え、音楽イベントを開催したり、展覧会を開催したり、面白い取り組みがたくさんされています。

数年前からは小杉湯の隣に、それこそ「小杉湯となり」という名のコワーキングスペースのような場も新設され、地域を巻き込んだ場作りの一環となっています。
その取り組みについて書かれた『銭湯から広げるまちづくり』という本を読みました。


小杉湯の隣で取り壊し予定だった古い風呂なしアパートを、何か面白いことに使えないかと思い立ったのが始まりだったそう。そのアパートを取り壊すのをやめ、いろんなジャンルのクリエイターの人達に、まずは1年限定で「銭湯入り放題」で住んでもらったそう。イラストレーターやミュージシャン、観光プロデューサー、ITエンジニアなど。

いろんな知見を持つクリエイターの人達が同じアパートと銭湯で共同生活することで、イベントや創作活動や銭湯を起点とした情報発信が自発的に生まれていったそう。才能や知見が同じ場所に集まれば、化学反応的にいろんなムーブが起こっていくのだなと。


この本を読んで、思ったこと(なんとなく思い付いたこと)が2つ。

1つが、被災地の復興支援にこのアイデアを活かせないのかな?ということ。
これから復興を目指していく被災地で、もう使われなくなったアパートや宿泊施設を国が買い取って、いろんなジャンルの若いクリエイターの芽のような人たちに無料で住んでもらう。
いろんなアイデアを出し合いながら、新しい街づくりに繋がっていきそうな気がします。

2つ目が、銭湯ではなくもう少しニッチな業種で同じことができないのかな?ということ。銭湯のような「伝統あるもの×クリエイター」みたいな活動は、わりと至るところで展開されており、今やあまり新鮮なものでもなくなっている。

例えば「メイド喫茶」
メイド喫茶の隣のアパートにいろんなジャンルのクリエイターを住ませて、1年間夕食はメイド喫茶で提供する。
クリエイターもかなり幅広いジャンルにて。たたみ職人やDJやファッションデザイナーやお化け屋敷プロデューサーやジビエ料理人や忍者村の劇団員など。

もしかしたら、全面畳の斬新なメイド喫茶が生まれるかもしれないし、メイド喫茶のテーマラップが生まれるかもしれないし、ジビエ料理を提供する「マタギ喫茶」という新たなコンカフェが誕生するかもしれないし、ワンチャン世界と戦える尖ったコンテンツが生まれるかもしれません。たぶん生まれません。


なにせこの本から学んだことは、いろんな人が集まる「場づくり」はとても重要ということと、新しいアイデアを生み出すにはまずは自分と全然違うジャンルに属する人と接するということです。

高円寺の小杉湯、是非行ってみてくださいね。

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