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気持ちを察しすぎると相手は子どもでいようとする

今回は、気持ちを察しすぎると気持ちを察してもらう相手は子どもでいようとする、ので注意が必要という話です。
 

相手の気持ちを察する能力というのは、私たちが社会的に生きていく上でとても優れた力です。
ただし、身近な人の気持ちをいつも察しすぎると、その相手はそれに甘えて子どもの状態でいようとします。
 
「こんな事まで言わなくてもわかってくれるはずだ」
「自分の気持ちをわかって、やってくれるはずだ」
 
などのように期待に応えてくれて当たり前、と思うようになります。
 
そして、少しでも期待に応えてくれないと、
 
「自分の気持ちをちっともわかってくれない」
「言わなければわからないのか、気が利かないな」
 
などのようにワガママな態度を示すにいたります。
 
このような状態が起きるのは、母子にまつわるある心理状態が関係しています。
今回はその心理状態と、そうならないための基本的な考え方をお話します。



その心理状態というのは、「母子一体感」です。
 
乳幼児に抱く赤ちゃんと母親が一体であるという感覚です。
生まれてきた赤ちゃんは、欲求や不快を自分で対処する力がないので、養育者である母親に満たしてもらいます。
 
自他の区別がつかないので、母親にやってもらっているという感覚もないでしょう。
赤ちゃんには、「母親は自分とは別の人間」という認識ができていないのです。
 
母子一体感を持つことは自然なことで、十分に親に甘えることができた子どもほど、心の発育が健康的に進みます
 
十分に甘えることができた後に、「自分と他人は違う」という「離別感」を持つことができて、徐々に母子の距離をとっていけるようになるのです。
 
 
しかしながら、「離別感」を持つことなく育っていくと、相手は何も言わなくても自分のことをわかってくれて、思い通りに動いてくれるはずだと期待してしまう、甘え・依存心が強いままになります。
 
この状態は、親子関係でよく見られますが、夫婦関係や家族以外でも近い人間関係において見ることがあります。
「言わなくてもわかるでしょう」という心理から言葉でのコミュニケーションなしに期待する関係。
 
 
このような関係に陥らないための基本的な考え方は、「自分と相手は別の人間である」ということ。
 
別の人間なので、自分と相手の気持ちは違うのが当然のこと。
相手のことはわからないのです。
 
「気持ちを察してあげる」「暗黙の了解」を美徳とするようなところが日本にはありますが、わからないものはわからない。
だって、私とあなたは別の人間なんだから。
 
お互い別の人間なんだから、ちゃんと言葉で説明してくれないとわからない、そのことを相手に伝えて理解してもらいましょう。
 
 
今回は、気持ちを察しすぎると相手は子どもでいようとする、その背景には母子一体感があり、自分と相手は別の人間である基本態度が必要であるという話でした。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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小林いさむ|公認心理師

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