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✕人格の否定 〇特定の行動を注意 (問題の外在化)

今回は、『問題の外在化』について話したいと思います。
 


なにか物事がうまくいっていないときや自分が悪いと思っているとき、
自分の内側にある問題を外側に取り出すことを「問題の外在化」といいます。
 
心理療法で用いられる技法です。
問題について内在化していた状態から外在化するということです。
 
もともと家族療法の文脈から出てきた考え方です。
家族の中に問題を内在化している状態から、家族の外に問題を取り出して、対処を考えるというものです。
そして家族療法だけではなく、個人療法にも有効だということで用いられています。
 
今回はこの問題の外在化を取りあげて、視点を変えて問題をとらえて対処するとうまくいくという話をします。



具体的にどのようなことをするのか説明した方がわかりやすいですね。
 
不登校の子がいるとします。
学校に行きたいという気持ちがあって、「明日は行きたい」と前の晩には思っています。
しかし、朝になるとどうしても行きたくないという気持ちになります。
 
この場合、学校に行けない「自分はだめなヤツ」と考えてしまいがちです。
親が学校に行けない子どもを残念がってしまうと、さらに自分を悪く思ってしまいます。
その悪循環。
 
そこで「朝になると行きたくなくなる気持ち」を外に取り出してみます。
ニックネームをつけて擬人化すると、自分と別のキャラクターになります。
「モーニングブルーちゃん」とか、たとえばですけど。
 
こうすることで、自分が悪いから、自分の中にいた「モーニングブルーちゃん」が悪さするに変わります。
問題が特定のものになるので、家族でそれについて話し合って対処を考えやすくなります。
 
このように問題になっている行動や感情、思考を擬人化して、外に取り出すのが「問題の外在化」です。
 
 

問題を外在化することでなぜ問題を取り扱いやすくなるのか。
今の不登校の例からもわかるように「問題」と「自分」を分離しやすくなるからです。
 
分離することで問題と距離を置くことができます。
自分の中にあるものは見えにくいですが、距離を置くことで客観的に見えてきます。
 
それによって、対処法も見えやすくなるのです。
 
 

問題の内在化と外在化について知っていただいたところで、
人の過ちを注意するときに気をつけていただきたいことがあります。
 
その人の人格を否定するのではなく、行動を特定して注意するようにしましょう。
 
親や学校の先生が子どもを注意するときによくあります。
「こんなことをするなんて、あなたは本当に悪い子だ」
これは人格にまで話を広げて、内在化させています。
 
特定の行動を主語にして、
「○○したことは良くなかったね」
というように外在化するとよいです。
 
このほうが子どもは行動に焦点を当てて改善しやすくなりますよね。
 



今回は、自分の人格を否定せずに特定の行動や感情、思考を対象にして、
自分の外に取り出すことで対処しやすくなる、「問題の外在化」についてお話しました。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。


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小林いさむ|公認心理師

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