動かない子どもの動かし方

先回りすると子どもの意欲を奪う、だから後回りだ、ということをつぶやいたところ、「よーし後回りだな!永遠に後回りしても子ども動かないな!保育園の時間がー!まだ食べてもいない!着替えてもいない!先回りするしかないやんかー!」という悲鳴が聞こえた。

さあ、この現実にどう対処したら?

「ご飯だよー!」と言っても全く動こうとしない子どもたち。マンガや本を読むのに夢中。そこで少し「思枠」をずらすことに。

「問題でーす。これはいくつでしょう?」左右の手の指を一本ずつ立てた。子どもたちはどんな面白いことが始まるのか?と、こちらを見て「にー!」

「じゃあこれは?」「ごー!」「さあ、今度は難しいぞ〜!わかるかな〜」ともったいつけて、両手広げた。「じゅー!」

「正解!次は競争だ!食卓に誰が一番早く座れるか?ヨーイ、ドン!」

子どもたちはキャー!と叫びながら押しのけるように食卓へと走り出した。

ご飯だぞ!早く食べろ!と言っても子どもは動かない。今の楽しい時間から、義務への時間に移る、という提案は却下したい。だから子どもは動こうとしない。

そこで私は、「楽しい時間から別の楽しい時間へ」と、食卓に向かうまでに楽しい「思枠」を一つ挟んだ。すると、子どもは目新しい楽しみに移る。

楽しい思枠を一つ挟むと、子どもは動く。いきなり目的の枠組みに行かせようとするのではなく、一つ楽しいことを挟む。すると、子どもは目新しい楽しいことが大好きだから、乗ってくることが多い。

小学校に登校する時間が迫っているのに、手近の楽しいものに目を奪われ、なかなかクツをはこうとしない娘。そこで一計を案じた。

「娘ちゃん、クツようはかんやろ〜、お父さんがはかしたるな〜」と声かけ。すると「ダメー!自分ではく!」と、急に熱心にはき始める。はき終わると、どんなもんだ顔。

あえて「クツをはかしてやる怪人」になることで、娘にとっては「怪人の攻撃をいかにかわし、クツをはくか」というゲームに変わる。そして見事障害を乗り越え、はき終わったら、怪人たるお父さんを悔しがらせる。私は「えー!はき終わったの!」と驚き、悔しがる。

最近、宿題がたまっていた娘。たまっているだけに量が多く、量が多いからよけいにやる気がしないらしい。先延ばししてばかり。そこで私はまず「一緒に録画見ようか。それが終わったらちょっとだけ宿題しよう」と声をかけた。

一緒に録画を楽しみ、終わったところで「さあ、じゃあちょっとだけ宿題やって、その後オヤツ休憩しようか。どの宿題にする?」と声かけると、済んだら休憩するという言葉もあるからか、すんなり始める。でも嫌気がささない程度に相談して量を決め、そこまで終わったら休憩。

休憩が終わったらまた少し宿題をし、それが終わったらゲームして、それが済んだらまた少し宿題。そうして楽しいこととサンドイッチして。宿題も、途中で「お!えらいきれいに字を書いてるなあ」とか、「だいぶ進んだねえ」と、軽く感心する感じで、楽しく取り組めるように。

そしたら、かなりたまった宿題も1日で終えることができた。何かしなければならないことがあるとき、楽しいことでサンドイッチすると、スムーズにその行動に移れることがある。それをアシストし、承認してくれる人がいると、より行動を変化させやすくなる。

まあ、できたら宿題なんかなくなればいいのに、と私は思ってるほう。これのせいで多くの親が口やかましくなり、そのせいで子どもが学ぶのを嫌いになってしまう原因となっている。子どもを勉強嫌いにする元凶は、宿題にあるんじゃないかとさえ思う。

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