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『菜根譚』から学んだ働く姿勢


入社1年目のときに、上長命令で3か月かけて市場分析の資料を作った。

特に明確なゴールがなく、ただひたすらにGoogleリサーチをし、市場動向やプレーヤー比較、法規制などの情報をパッケージにして渡した。そのときはてっきりリサーチ段階で案件が終了し、自分の資料が特に日の目を見ることがないと思っていた。

※参考までに、そのときの様子を書いたのがこちらの投稿。

ところがここ数週間で情勢が変わり、「お偉いさん方に市場動向を報告する必要があるから手伝ってほしい」と言われ、なんと自分の資料が大量に引用されることとなった。

資料が使われて嬉しいと正直に感じるとともに、長い期間をかけて調べたことで「これについての情報知っていますか?」と質問が来るようになり、自分の3か月が無駄ではなかったと思えた。

「禍福は糾える縄の如し」

かつて司馬遷は、良いことも悪いことも交互にやってくると論じた。勘の良い人なら、その後どういう展開になったか想像がついただろう。

資料が引用される際に他の方が再度チェックしていただいたおかげで、市場規模の計算において大量のミスがあることが発覚した。

「ここ足し算間違っていますね」という指摘をきっかけに気づいたのだが、円グラフが100%になっていないという凡ミスから、そもそも足し算の問題ではなく参照するデータの定義が違っているという根本的なミスまであった。

意気揚々としていた自分は、自分の仕事の粗さ、チェックの甘さを痛感すると同時に、さまざまな関係者に資料の修正を手伝っていただいたことにただ頭が上がらない思いだった。
また、慌ててしまって上手く質問に答えられなかったり、自分の落ち着きのなさも露呈してしまった。

何がいけなかったのか

①慢心

たとえ1年目で物を知らずに作ったとしても、外部の人へ渡すときに念のためにチェックしておけば溢れ出るミスの防波堤になったはずだった。しかし、資料を作成し終えたときに先輩から褒められたことで「1年目の集大成になった」と誇らしく思っていたために、特段読み返すこともなくそのまま引き渡してしまった。自分の能力を過信したところで良いことが無い、と改めて痛感した。

②油断

色々な案件と同時並行で資料作成を行い、その期間は3か月と悠長だった。
特にゴールが不明瞭なまま漫然と資料を作成していたため、「自分の資料はどうせ作って終わりだろう」という油断があった。頭をクリアにして日を改めて検算することもせず、計算過程に用いた情報ソースもいくつか記録し忘れていた。今思えば、与えられた仕事に対して非常に不誠実な姿勢だったと感じる。

これからの働く姿勢

「自分は仕事の出来ない人間だ」
自分のミスを受け止め大きく落ち込んでいるときに、偶然『菜根譚(さいこんたん)』という中国の古書を知った。その中でも、前集第81項の内容が自分の心に刺さった。(現代語訳の引用先は82項と記載)

気象要高曠、而不可疎狂。
心思要縝密、而不可瑣屑。
趣味要冲淡、而不可偏枯。
操守要厳明、而不可激烈。
現代語訳
意識は高くなければならないが、世の中に疎(う)いようでは駄目だ。 心使いには注意深くなければならないが、細かすぎては駄目だ。 趣味にはのめり込まない程度でなければばらないが、偏りすぎては駄目だ。 意志は強く明確に打ち出しておかなければならないが、強烈すぎては駄目だ。 つまり、志は高いが現実的で、些細な事に偏らず、思い込み過ぎず偏らずというのが人生の王道だ、ということ。 言い換えれば、活人は、目的を明確にして、目標に分解して、淡々と達成しながら、何事も臨機応変に、ということだろう。

目的を明確にし、自分が要求されているもの、達成すべき目標が何かを丁寧に考え、粗すぎても細かすぎることもなく淡々とこなす。失敗をしたとしても、それを再現しないように工夫し実行する。まさに自分が身につけるべき姿勢である。

言う事は易く、こうやってつらつらとnoteに書くことができるが、このような境地にたどり着くまでには日ごろからの小さな努力の積み重ねにかかっている。感情的になりやすい自分だが、今回のミスを量産した経験から学び取り、自分が自分自身を尊敬できる仕事をしていきたい。

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今回も自己満足の投稿に最後まで付き合ってくださってありがとうございます。参考までに、古代の賢人が書き記した名著『菜根譚』のリンクを貼っておきます。

『菜根譚』の由来は、「菜根は堅くて筋が多い、これをかみしめてこそ、ものの真の味わいがわかる」という言葉から来ています。まだ入社2年目にして遠い道程に心が急いでしまうことがありますが、ゆっくり奥深さをかみしめ、邁進していきたいと思います。

今週もお疲れさまでした。


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