「大丈夫ですか」に見る若者マインド

私は仕事上、二十歳前後の若者と接する機会が多いのですが、最近ずっと違和感を感じているフレーズがあります。それが、

大丈夫ですか

です。
これ単体では別になんの違和感もないんです。
お年寄りが転んじゃった!駆け寄って「大丈夫ですか?」のような、相手を心配する、慮る「大丈夫ですか?」には優しさがあります。
それとは異なる、ある一定のシチュエーションで「大丈夫ですか」が相手から飛び出すと、「あのなァ…」と、返す声のトーンが一段下がってしまいます。

さて、ではその「シチュエーション」とはどんな状況のコトか、例を挙げてみましょう。

「昨日までが提出締め切りだった書類、今持ってきたんですけど 大丈夫ですか

「12月からの説明会、用事があって行けないんですけど 大丈夫ですか

…お分かりいただけるでしょうか…。
疑問文なんですが、私は敢えてクエスチョンマークを省いています。緊張感のない、確認する意思もない疑問文。「せんせートイレにいってもいいですか」ぐらいのテンションで、二十歳ソコソコの若者が男女関係なく言い放つ、

「コレやってないんですけど大丈夫ですか

オ マ エ は 大 丈 夫 か ?
締切は過ぎてるんです、確実に。
出席が必要だから案内してるんです、あなたに。
「大丈夫ですか」と訊くまでもなく、大丈夫じゃないんです。

た だ し、

実務上は、大丈夫な事が多い

コレが問題…というか、ニクいところで、例えば提出書類の締切を設定するにしても、本当のギリギリで設定してないワケで、実務上は締切翌日に提出されても、締切後に書類を集約して私が行う処理には間に合います。説明会で配付したした資料を今渡して、個別で説明することもできます。

そういう意味では「大丈夫です」。
なので私はワケのわからない違和感を覚えながらも、「いいですよ」と答えて書類を受け付けたり資料を渡したりしてあげます。

でも…果たして良いのか?それで。
だって大丈夫じゃないでしょうがよ。大丈夫だけど…でもやっぱり大丈夫じゃないよ…。

私が「何が違和感として引っ掛かっているんだろう…」と考えて気付いた違和感の正体があります。それは、

私に答えさせていること

です。
つまり、締切を過ぎることも、説明会を欠席することも「悪い」と分かっている。
でも、相手に「大丈夫」と言わせることができれば、それは客観的にも「大丈夫」なことになる。

「大丈夫です」と答えることで、相手のやらかしたことを正当化する片棒を担がされている!

私はここに相手のあざとさを感じ、イラッとしていたワケです。

警察署で
「ここまで来るために時速120kmで車カッ飛ばしましたけど大丈夫ですかねェ…
って言ってるようなモンでしょ。現行犯じゃないし証拠もない。取締りの対象にならないから「大丈夫です」と警察官に言わせるか、と。

ここに最近の若者の「自分で考えようとしない」特徴が表れているように思います。
「1日遅れたって間に合うはず」「のっぴきならない事情があるんだから考慮されて当然」と確信があれば、それを主張するでしょう。
特に自分を正当化する主張もなければ、スキップしようとしている手続きの重要性についても関心がないので、他人事のように無責任な「大丈夫ですか」が口から垂れてくるのではないでしょうか。

それから、若者の「訊かれたことにしか答えない」という傾向も感じます。彼らが「大丈夫ですか」に対する答えとして待っているのは「どうしましたか?」であることがあります。尋ねるとようやく理由や言い訳をボンヤリ話し始めるコトも多い。それも、こちらから尋ねたことに対してピンポイントでしか答えないので、少しずつヒントを求める推理クイズのようです。

さすがにウンザリするので、たまに世直し的な気分で、

「イヤ、大丈夫か大丈夫じゃないかで言ったら大丈夫じゃないですよ」

とチクリと刺してみたりすることもあります。それでも結局それで相手が何かに気付くとか反省するとかいうこともありません。

結局「実務的に大丈夫」だし、突っぱねたら組織としては余計に面倒くさい状況に陥る可能性もあるし、ここは受け入れるしかないのか…。と、モヤモヤしながらもこの状況を迎合し、デスクでため息をつく次第であります。

少なくとも私は、善悪の判断は自分でして、悪いと思ったら潔くそれを認めたうえで、正々堂々とネゴシエートできる人間でありたいと思います。

「書類提出の締め切りに遅れました!すみません‼︎ しかし、そこをなんとか…‼︎」


…問題はそこではない気がする…。


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