コーチング研修

先日コーチング研修を受けました。この体験は今後の自分の仕事の仕方に大きく影響を与えるような貴重な機会だったのでここに所見を書き留めておきたいと思います。長文にも関わらず例によってノウハウ系の記事ではないのであしからず。

先ずはコーチングを受けようと思った経緯から。ディレクターとして長い間お仕事をさせていただくとそれなりにたくさんの方々とご一緒させていただくことがあります。クライアントはもちろん代理店の方や制作スタッフなど業界もジャンルも職種も経験も様々な方とご一緒します。人と人ですから衝突もありますしうまくいかず結果的にお互いの望む形に着地しないこともないとは言えません。プロジェクトが正しく進むように調整することも自分の役割なので自分が気に触ることがあっても気持ちをグッとこらえて関係者を気遣い最後に全員がハッピーになれるよう尽力します。“気持ちをグッとこらえる”ときの“こらえ方”も様々でただ単に自分が我慢すれば何とかなることが常なのですが時には我慢の限界を超えるときももちろんあります。そんなの時は「お金をもらっているのだから…」「いつか終わるから…」という魔法の言葉を心で唱えて自分を納得させます。そんな調子で今まで乗り切ってここまで来たのですがが果たしてそれで良かったのだろうか?とふと疑問を抱きました。ビジネスとして自分に発注してくださる方々に対してはそれでも良いかもしれません。しかし一緒に制作を行うスタッフに対してはそれだけではいけないような気がしました。自分が全て正しいわけではないし相手の持っているアイデアが自分の想像を超え過ぎていて自分が気付かずうまく行っていないだけかもしれません。もしかすると向こうは一生懸命アピールしているのに自分が無視してしまっているのかもしれません。

先に書いたようにそれなりに長い間経験を積んでいるのにで自分と大きく年齢の違うスタッフは私のことを頼りにしてくれます。頼りにしてくれるからこそ最大限自分の持っている経験や知識を伝えようとします。若者はそれを受け止めてくれます。受け止めきれないことの方が多いとは思いますがそれでも真摯に話を聞いて成長しようとしてくれます。ただここで気をつけなければならないことは真面目であれば真面目であるほど若者は鵜呑みにしてしまいます。私のやり方が全てではないし私のやり方を実践することで本来自分の持っている良さが隠されてしまうこともあります。“教える”という行為は“知識の継承”だけではないということです。

そんなことを漠然と考えているときに“コーチング”という言葉を思い出しました。そして「本でも買って読んでみよう」と思っていたのですが折角なので「研修を受けてみよう」と考えました。完全に興味本位です。

朝の10時から夕方の17時までびっしりと詰められたカリキュラムにおののいたとは言えいざ研修の日になると期待に胸を膨らませていました。些細なことでも学んだことを早速実践してみようという思いで臨んだもののそんなに簡単なものではありませんでした。

「考え方だけでなく生き方さえも変えなければいけないかもしれない…」

受講後の嘘偽りのない私の感想です。コーチング。たった5文字の言葉です。今までほとんどできていなかったしこの先もできる気がしません。ただ何をすれば良いのかを気づくことはできました。

いくつかあるカリキュラムの中で“相手の話を上手に聞く”というワークがありました。1対1で行うそのワークは“話をする役”と“話を聞く役”に分かれて一定時間話した後でお互いに相手の聞き方を採点(◯/△/×)するというものでした。「話し手は相手に聞かれたこと以上のことを言わないこと」「聞き手は相手の話を引き出す質問をするだけで自分の話はしないこと」というルールもあります。私とお話をさせていただいた方は話すのが苦手だとおっしゃっていました。ワークが始まると早速私はいろんなことを質問します。話すのが苦手だという相手に対して必死に質問を考え相手の話を少しでも引き出そうとします。話し始めた相手の話を少しでも深堀しようと質問します。ただすぐに話は終わってしまいました。盛り上がらない会話。恐縮する二人。そんな空気の中ふと気がつきました。

「今の自分は相手のことを知ろうと必死に考えて質問をしている」

自分の部下や後輩と対峙したときにここまで必死になって話を聞いたことがあるだろうか?ふと考えました。もちろん部下や後輩に対して質問をしたり意見を聞いたりはします。ただそのときに相手に歩み寄っているつもりでも“必死に歩み寄ってはいない”のではないか?と。

どれだけ相手の目線になって考えても受け取る相手が自分のことを上司や先輩や目上の人という目で見ていたらそこには少なからず壁があるのではないか?壁があるということは嘘偽りのない本心や本当に心の中で思っていることは口に出してはくれないのではないか?そんなことに気付かされました。同時に自分は今までの人生の中で本当の意味で相手に歩み寄って話を聞いたことがないのではないか?そう思うと悲しくて涙が出そうにさえなりました。

「やばいことに気づかされてしまった…」「生き方を変えない限りコーチングなんてできない…」そう思いました。

生き方を変えるなどということはすぐにできることではないですが少しずつコツコツとやるしかありません。自分ひとりにできることは限られています。自分の時間も限られています。数少ない時間と数多くの達成したい目的のために。共通の目的を持つ仲間の力を引き出し自分と関わる全ての人が幸せになるために。生き方さえも変えようと思える貴重な研修を受けることができました。

幸い今の自分の周りには共通の目的と志を持つ仲間がたくさんいます。このことに感謝しながら少しずつ成長していきたいと思います。

なんだか意識高い系の文章になってしまったのでオチをつけたいのですが今の自分にはその能力もないので自分が受けた研修のリンクを貼って広告っぽくこの文章を終わらせたいと思います(アフェリエイト収入はありません)。皆様今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒宜しくお願いいたします。

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