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100%の恋愛小説は

今回は、村上春樹の『ノルウェイの森』について。
(半年前に読んだので、新鮮な読後感は薄れてしまった)

37歳の僕が空港で耳にしたビートルズの曲を耳にし、大学生時代のことを回想することから始まる。

自殺した親友のキズキと恋人の直子と、主人公のワタナベ。

全体で見たその本の印象は、静かで荘厳だった。

この世に生きる誰もが抱える昏い想いがありありと描かれている。

それはきっと、この3人だけじゃなくて現実世界のわたしたちにも当てはまるのだろう。わたしたちは自分の境遇に重ねて、読み進めていく。

ワタナベをはじめとする登場人物はみな真剣に不器用ながらも『愛』と向き合っている。
結局のところ『愛』とは何なのだろうかと考えさせられる。


直子が死んだことについて、ワタナベがレイコさんに手紙で相談した場面が個人的に気に入っている。

『物事は流れるべき方向に流れるし、どれだけベストを尽くしても人は傷つくときは傷つくのです』

『幸せになれると思ったらその機会をつかまえて幸せになりなさい』

『そういう機会は人生に二回か三回しかないし、それを逃すと一生悔やみますよ』

レイコさんからの返事の内容は、わたしへのアドバイスかと思うほどだった。

今のわたしでは、この精密な物語に込められた意味や細かな伏線の意図全てを理解できたわけではないが、また月日を置いて読んでみたいと思った。



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