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夫の葬儀に女が入口で泣き崩れた話

これは前の夫の葬儀の時の話。
彼が亡くなった悲しい一連の思い出の中で唯一笑える思い出。
だから、この事もnoteに記しておこうと思う。

それはお通夜の前の夕方のこと。
お通夜は18時スタートだったが、お手伝いの人が集まったり、私も打ち合わせや、早めに駆けつけてきてくれた人の対応をしていた。

コロナ前だったし、現役会社員だったから大きい会場。
その入口で、泣き崩れる女(同世代ぽい)に気が付いた。
その両側には、友達らしき女が二人、彼女の両側で背中をさすったり、ケアしている。

女のカンです。

泣き崩れるほど悲しく思ってくれる事もあるだろう。
でも、私は両側にいる友達の行動がひっかかった。

一緒に悲しむのではない。
あくまで泣き崩れる彼女を慰めているのだ。
まるで夫を亡くした妻をいたわるように・・・

「これは面白くなってきた」

と私は思った。
私は脳梗塞から退院した直後の急逝。決して体調もメンタルも万全ではなかった。
でも、「これは楽しい事態だ」と感じた。
さてどうしましょう?

とりあえず近づいてみた。
「あの・・・妻です。今日は来てくださりありがとうございます」

はっ!!

彼女も彼女の友達も一瞬そんな顔をした。
「面白いけど、この場は大人な態度でいるのが役割だな」と思った

「主人のために泣いてくださり、本当にありがとうございます。
生前お世話になった方ですか?」
会社の後輩とのこと。
名前を聞いたら、なんとなく聞いた事はあった。
独身時代に同じ部署だった後輩だ。

あとは普通に挨拶をして、先に彼に会ってもらいその場を離れたけど
彼女はずっと泣いていた。
棺の横で私の100倍は泣いていた。

「これはこれでよかったんでないか?」

これが私の感想。
夫が彼女とどんな関係だったのかは結局は不明。
単に彼女が慕ってただけかも知れないしね。

もしも、それ以上の関係だとしたら、それは夫にとっては
大変素敵な人生だったはずである。
妻の私もいて、そしてさらに。
予想より早く終わった人生だったけど、華やかさもあったのなら
合格点だ。

あとから聞いたら、受付付近にいた彼の会社の人たちはヒヤヒヤしながら私たちのやり取りを見ていたらしい。
彼の会社で私の担当になってくれた人※から
「あれは大丈夫だったのか?」と確認もされた。

なぜ腹も立たないし、むしろ笑えると感じたのかは自分でもわからない。
信頼関係が続いているからかな。きっとこれからも、亡き夫との信頼関係は続いていく。

※そういう人を立ててくれたのは本当に助かった。死亡退職手続き関係のケアも付きっきりでしてくれたし、物や書類のの整理もやってもらった。亡くなった次の日には家に来てくれた。そして心のケアとして、彼の職場の見学をさせてくれたり、今でも時々連絡をくれる。
彼の会社はそんな点でとても余裕のある対応をしてくれる会社だった。
私の会社はそこまでは行き届いていない。だから、私が気が付いた点は上司に助言するようにしている。
会社内に限らず、個人でそんなサポートをしてあげる役割が担えたらいいなぁと思う。



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