見出し画像

馬がいるってきいたので。(1)

『服部牧場』
                              
           神奈川県愛甲郡愛川町
                                                         
                                                            2023.9.28
 この日は夏日だった。出かけようか、どうしようか。迷うところだけれど、牧場へ行くなら、やっぱり天気がよい日のほうが気持ちいいだろうな。この夏は、どこへも出かけなかったし。夏らしさを満喫する、最後のチャンスかも。よし、行こう!

 そうと決まれば、支度しないと。
 小さめの保冷剤をたくさん。麦わらキャップ。タオル2枚。それから、二本の魔法びんに氷を入れて、麦茶とスポーツドリンクを。明日は仕事だから、倒れられないもんね。

 牧場が近づくにつれ、山道になっていく。土地勘のない、鬱蒼と茂った木々の間を独りゆくのは、爽快な晴れの日ですら、なんとも心細いものだ。お気に入りの音楽に没頭して、気を逸らしながら進む。

 神奈川県の愛甲郡にある、『服部牧場』に到着。山の中が切り開かれて、そこにポトンと天からこの身を落とされた気分。なんていう開放感!!

 芝の部分が駐車スペースだ。車を停めると目の前に、家畜舎が見える。

 かわいい手描きの地図を発見。現在地を確認。どっちへ行けば馬に会えるんだろ?現在地の目の前に放牧地があり、地図上には馬が描かれているのだけれど…。うーん、いそうにない。とりあえず、羊のイラストがある方向へ。坂を下ってみる。

 やっぱり、羊しかいない。少しでも涼もうと、柵の陰に沿って多くの羊たちが並んで座り込んでいる。今がチャンス!とばかりに、みんなが休んでいる隙を狙って、ぱくぱく餌を頬張る羊たちもいる。  
 さあて。馬に会いたいが、どこにもいない。汗がだくだく流れてくる。麦わらキャップの中に保冷剤を忍ばせ、もういちど元の場所へ戻ることにした。
 地図が立っている場所には、アイスクリーム工房「カサリンガ」がある。そちらの店員さんに馬がいるか尋ねてみよう。店内に入るとクーラーが効いていて、気持ちがいい。ホッとして、ゆっくり店内の張り紙に目を通しながら、涼む。レジ前に並んでいたお客さんが、ジェラートを受け取って出ていったところで、店員さんに馬に会えるか聞いてみた。店員さんはやわらかくほほえみながら、丁寧に優しく教えてくれた。 どうやら、その時々で居場所が違うらしい。地図で言うところの、パドックあたりにいるようなので、塀の細い陰に沿ってのろのろ向かう。すると、囲われた柵の中で、羊と馬が仲良く餌を食べていた。

 馬は5頭くらいいた。みんな、体格や柄が違う。種も違いそうだ。ぶち毛の子と栃栗毛(とちくりげ)の子は、いつもペアで動いているみたいだ。(私は馬の毛色のことがよくわかっていないので、間違っていたらごめんなさい)ぶち毛ちゃんと栃栗毛ちゃんが、ほかの子たちが食べているところにスッと入っていくと、それまで食べていた子たちは移動する。馬は上下関係がはっきりしていると聞いたことがある。だからこそ、集団の中でトラブルが起きにくくなるのだと。だとすると、このぶち毛ちゃんがリーダーで、栃栗毛ちゃんがお付きの者…二番手なのかもしれない。


 この子がなんだか、終始寂しげに見えてしまい、肩入れしてしまう。ロバやモウコノウマを思い出すような姿。和種じゃなさそう。まだなんの知識もないので、いろいろ考えているだけで、どんどん時間が過ぎていく。夕暮れ時が近づいてきたんだろう。カラスがやたらと集まってくる。日陰の幅が増えてきたし。そういえば、少し暑さが弱まってきていている。ポッケや帽子の中の保冷剤は、すっかり溶けていた。
 この牧場は17時まで開いているらしかったが、あの山道を暗い中運転することだけは避けたい。16時くらいだったかな。こにいる馬たちと別れ、来た道を、花を見ながらゆっくり戻ることにした。

 せっかくだから、牛舎へも寄る。牛たちが、ずらりと並んで干し草を食べている。花道(?)を、ゆっくりすすむと、じっとりとした眼差しで私を見てくる。最後の最後に、ポニーちゃんたちもいた。仲良く首を伸ばしている姿がかわいい。

 牛舎を出ると、向かいの家畜舎に、大きな馬が3頭いたのだけれど、立ち入り禁止となっていた。危険なので、仕方のないこと。でも、遠くから眺められたので、じゅうぶんハッピー!

 また、アイス工房のところへ戻った。奥にはバーベキュー場、向かって右隣にはソーセージ工房「メッツゲラハットリ」も。喫茶スペースがあり、ホットドッグが食べられるようだったが、今日は時間がないので諦めた。
 この店の前の石畳に、蹄鉄を発見。

 アイス工房でソフトクリームを購入。まるで生クリームのような、まろやかさ。やわらかい甘さ。ミルクの香りもしっかり!ほんっっとに美味しかった。慌てて食べてしまったので写真は撮れなかったけど、真っ白のカップに純白のソフトクリーム。そのシンプルさが、とてもよかった。ジェラートの種類も豊富だった。次回は、ぜったいジェラートを食べよう! 
 お土産に、ハロウィンのお飾りと、馬のストラップも買った。。子どものように、店の前で広げる私。手作りの牛のぬいぐるみが乗っかっていて、とってもかわいい。馬のストラップも手作りで、どれも表情がわずかに違うのがいい。

 夕方に向かう空は、同じ晴れの日でも、かんかん照りの時間帯の空と色が違う。

 さあて。お家に帰りましょ。離れがたかったけれど、駐車場で広い空と近い山々をしはらく堪能し、パワーを体の中にたくさん閉じ込めてから帰宅した。


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?