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「始めるのに遅い事はない」事をエビデンス付きで証明します

よくデザイナーは先輩から、「俺だって昔は徹夜して仕事したんだぞ」「1人前になるには時間が必要なんだぞ」「今は辛いだろうけど、頑張れば報われるんだぞ」と言われて、新人時代を過ごす人は多いと思います。

僕は昔からこの言葉が大嫌いで、ずっと嘘だと思っていました。
なぜなら「皆同じ時間かけて同じ努力をするなら、能力をテストで評価する必要がないし、一人ひとり顔形が違うように、一人ひとり能力だって違う」とずっと思っていたからです(今でも思っています)。
俗にいう「無駄な努力」は存在するとずっと思っていました。

なので、果たしてこの法則は正しいのか、ずっと疑問に思っていました。
エビデンスを出せという感じです。


きっかけはメンタリストDaiGoさんの動画

この疑問がいわば自分の中で核心に変わったのが、たまたまYoutubeで見ていたメンタリストDaiGoさんの動画でした。

この1万時間の法則が本当に正しいのかという話が最近出ています。この1万時間の法則は間違っているのではないかとされています。
1万時間の法則が間違っているということは、練習することが意味がないのかというと、そういうことではありません。練習をする前にするべきことがあるということです。

1万時間の法則の嘘〜ムダな努力をしないための練習法


自分で調べてみた

ただDaiGoさんの動画やブログを引用するだけじゃ芸がないので、自分で調べてみました。

どうやら元ネタは、アンダース・エリクソンという心理学者が提唱した論文を、マルコム・グラッドウェルというジャーナリストが本にして広まったみたいです。
これが元ネタの論文。

元々このグラッドウェルというジャーナリストは、統計データをあまり読んでいない個人的解釈、安易に二元論で語る等信憑性に欠けているというレビューもあるっぽいですが、
DaiGoさんはミシガン州立大学とプリンストン大学の研究を取り上げています。元ネタの論文も見つけたのですが、長くて上げるとキリがないので、研究結果をまとめたプレスリリースだけ載せます。
Becoming an expert takes more than practice

さらにミシガン州立大学のザック・ハンブリックさんの研究結果には、演奏家とチェスプレイヤーを比較した結果、
練習時間による能力差は、演奏家の場合30%、チェスプレイヤーの場合34%、
さらに2年で達人になった人、26年で達人になった人と、年数にもかなりのばらつきが見られました。
つまり、2/3の能力は練習とは無関係でした。
個人の能力差は何処から来るのか、未だに謎のままです。

しかもこの研究が発表されたのは、2013年5月。
Gunosyのアプリがリリースされたばかりの頃に発表されていたこの事実を知らずに、当時の日本はまだ長時間労働が蔓延っていましたね。


そもそも時間の質って人によって違う

よく「時間は平等」と言いますが、確かに時間は平等です。
ですが、「時間を使って得た価値」は人によってかなり違いが出ます。なぜならそれは、仮に同じ時間・同じ能力の人を使い・同じ勉強法を用いても、一人一人の健康状態の違いで、能力に大きな開きが出てくるからです。

1. 睡眠不足による脳機能低下

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当たり前ですが、眠れないと記憶力は低下します。
睡眠不足が続くと血管が縮まり、日中起きている間でも脳みそに送られる酸素・ブドウ糖が減ります。
つまり、仕事のパフォーマンス低下だけでなく、脳機能が著しく低下するので、記憶力も悪くなります。

2. ストレスによる脳機能低下

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ストレスを溜めると、人間はストレスを除去するモードに入ります。
すると、他に脳みそのリソースを避けないので、脳機能が低下します。

3. 血行不良による脳機能低下

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前述の通り、脳みそは血液から運ばれる酸素・ブドウ糖で活動しています。
血の巡りが悪くなると、酸素・ブドウ糖が隅々まで行き渡らなくなり、脳機能が低下します。

4. 内臓不良による脳機能低下

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胃腸が弱いと、食べ物を消化しきれなくなり、腸に運ばれても十分な栄養が摂取できません。
つまり、血流に運ばれるブドウ糖が少なくなるので、脳機能が低下します。

実際には、時間の使い方・能力・勉強法も人により違うので、同じ時間を使っても同じ能力の人が出来上がることはないとわかります。


デザイナードラフトから見る時間≠能力

僕はデザイナードラフトに登録しているので、デザイナーさんの提示年収を見ることがあります。

デザイナードラフトは経験年数を聞かれないので、一概にこの通りではないと思うのですが、
20代中盤のデザイナーさんの場合、仮に4年制大学を出ていたと仮定して、20代中盤の最少年齢は多分25歳だと思うので、経験年数は3年となります。
20代中盤でも600万円で指名を取れている人もいれば、40代中盤でも1件も指名を取れていない人もいます。
収入は能力を見る一つのバロメーターなので、経験年数が能力と比例しないと分かります。

そもそも経験(時間)=能力なら、よくある「実力主義です」「年功序列じゃありません」「やればやるほど成果が出ます」と求人に書く必要もありません。

僕も採用担当なので、人のポートフォリオを見ることがあります。
学生でも企画や設計を踏まえた、しっかりしたポートフォリオを出してくる人もいれば、
有名大学を出てデザイナー一筋の30代中盤の人でも、ポートフォリオ一つまともに提出できない人もいます。
経験者でポートフォリオ無しの人は、問答無用で落としてます。



努力の方向性を間違わないためにはどうすればいいか

これだけだと、時間≠能力を書き記しただけなので、ならそれをどう回避すればよいかも書きます。

1. 適度に運動する

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DaiGoさんの記事には「ワーキングメモリーを鍛える」とあります。
ワーキングメモリーを養うには、訓練もありますが脳内ホルモンの一つである「ドーパミン」を出す必要もあります。
適度に運動すると、ドーパミンを出すことが出来ます。
さらに、幸福感を与える「βエンドルフィン」というホルモンも出ます。「脳内麻薬」と呼ばれるβエンドルフィンが出ると、人間は同じ時間でも集中力に違いが出ます。
適度な運動をするにはどうすればよいかというと、歩くのが一番良いです。

2. 満員電車に乗らない

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満員電車が好きな人は、痴漢以外いないでしょう。
満員電車に乗ると、人は間違いなくストレスを感じます。ストレスを感じると、記憶力が低下します。
さらに職場の近くに住んで歩いて通勤する等をすれば、朝から適度に運動をすることが出来るので、脳内ホルモン出まくりで集中力と記憶力もアップします!何より時間の節約になります。

3. 健やかに生きる

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「健やか」とは、心身ともに健康に生きるという意味です。
身体だけでなく、心も健康になりストレスなく生活しなければなりません。
詳しくは、僕が書いた「資本」とは何かを考えてみたの人間の4つの資本「健康」をご覧ください。

4. 定量的に仕事する

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評価軸を数字にすることで、余計なバイアスを取り除くことが出来ます。

この数字とは、労働時間ではなく、「追うべきKPIに対してどれだけ数字を獲得できているか」という事です。
数字に良いも悪いも、好き嫌いもないので、評価方法にブレが出ることがありません。

つまり、労働時間が長くても数字取れていない人は評価されないし、逆に労働時間が短くても数字取れている人は評価されるようにする。という事です。
仕事のレバレッジが利くIT産業だから出来る事だと思います。

労働集約型のビジネスモデルでは、労働時間も売り上げという数字に直結しますが、労働集約型ではないIT産業だとそういうことはないので。


まとめ

とどのつまり、

1. ワーキングメモリーを鍛える訓練をする
2. 心身ともに健康に生きる
3. 時間の「質」を意識する
4. 自分の仕事でどれだけ数字を獲得したか確認する

が大事という感じです!

日本は資本主義国家なのに、変に平等・同権意識が強すぎて、かけた時間に対して同じ対価が欲しいと思う民族なのでしょうか?

ですが調べてみたら、もともと日本人は不真面目で、昼間っから酒を飲んでまともに仕事しない人が多かったらしいので、それほど労働時間と対価が同じでないと不満を言う民族性では、もともと無いような気がしますけどね。

「副業解禁」「パラレルキャリア」が叫ばれている昨今、時間の使い方を全員が意識しだして、日本独特の変な平等意識がなくなるとよいですね。

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