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おはようカラスにあやまりたい

「あなたには私のことを覚えていてほしいの。あなたさえ私のことを覚えていてくれれば、ほかのすべての人に忘れられたってかまわない」

海辺のカフカ
タイのスムージー屋に飾られていた村上春樹の名言

出会い

あれは数ヶ月前のこと

日本にきてはじめての秋の終わりかけ
肌寒くなり始めた河川敷をいつものように夫とランニングしていた時
でっかいカラスに会った。

カラスは河川敷沿いの、私の肩くらいの高さのフェンスに1羽で止まっていた。

私たちはその子がいる方へ走っていたんだけど、いくら距離が縮まっても全然逃げないのが初めは面白く、だんだん怖くなってきた。

いよいよすれ違う寸前、攻撃されるのではと案じた夫は
シッ!シッ!とカラスを威嚇した

そのとき
そのカラスは

「オハヨ〜!」と言ったのだ。

いやほんとに。

こーゆーこと

わたしたちとフェンスに止まったカラスの目線の高さはほぼ同じだった。

私は地元を走る時はメガネをしていないので、しっかり見たわけではないが、
カラスはまっすぐな目でわたしたちからの反応を待っているような気がした。

永遠のようにも感じた数秒のあと、カラスが諦めたように飛び立った。

カラスごめん

わたしは絶句していてあいさつを返せなかった自分を後悔した。
夫もシッシッなんて言ったのを後悔したかもしれない。

証拠もないこんな話は興奮して人に話したとて「空耳乙」と言われるだけなので自分たちの心に留めておいたのに、その数日後、母も
「このあたりにオハヨーカラスがいるらしい」という話をしてきた。

目撃者がほかにもいるということは、やっぱりあれは夢でも空耳でもなかったのだ。

また会いたい

今朝、同じ場所で同じように止まっているカラスがいたので
「おはよう」と言ってみたけどカラス違いだったようで返事は返ってこなかった。

もう1回会いたい。

会ってあやまりたい。
「ごめん、あのときはおどろいちゃっただけなんだよ!」って。

そんであわよくばともだちになりたい。

あのカラスの知り合いの方がこの記事を読んでくれてたら
どうかわたしが反省していることお伝えください。
そしてまた会わせてください。

よろしゅう

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