私は、履歴書と面接が苦手だ。

というか、"履歴書を見ながら話す形式"の面接が大の苦手。

当たり前のように持っていった履歴書を広げ、そこに書いた志望動機を一字一句思い出しながら口に出し、学歴や職歴を見て「この時は」「あの時は」と掘り返される、この時間がどうも好きになれない。

もちろん、中には履歴書を使わない面接もあるだろうし、履歴書があるからといって、その情報を基に話を進める会社ばかりではない。

あくまで、田舎でアルバイトとパートしかしてこなかった高卒の私の狭い経験の中での話だ。

私の"面接あるある"は、学歴を見て「高校を転校したのはどうしてですか？」と聞かれること。
面接官が地元の人だったりすると、転校先（卒業校）の名前を見て、「ここって通信制ですよね？」と聞かれるのも珍しくない。

卒業してから1年や2年しか経っていないならまだしも、5年以上経っている未だに、あるのだ。

それで正直な理由を言うと、たいてい「ウチで働く場合、そこら辺は大丈夫ですかね？」なんて聞いてくるんだけど、答えようがなくていつも困る。
だって、職場の雰囲気や人間関係なんて入ってみなきゃ分かるわけがない。
それなのに、なんだか「嫌なことがあっても我慢できますか？」って聞かれているようで、もやっとしてしまうのだ。
しかし、そこで弱気になるのはどうかと思うし、かといって下手なことも言えないから、「たぶん大丈夫だと思います」という曖昧な返事になってしまう。

高校卒業後に、しばらくまともに働かず（働くことができず）短期バイトばかりしていたのも、渋い顔で指摘されることが多い。

いや、分かるんですよ。「こんなヤツ雇って大丈夫か」「雇ってもすぐ辞めるんじゃないか」って思うの、すごく分かる。

でも、不登校になったこととか、通信制で1年間留年してから卒業したとか、自分の中ではまったく重要な話じゃなくて。
むしろ、それがあったから今の私がいると思っているし、今の私にとってはコンプレックスでもなければ、人生の汚点でもない。

たしかに、短期バイトばかりを転々としているのは、地に足がついていないという印象しか与えていないかもしれない。
でも、今の私は「働きたい」と思っているから、面接を受けている。それ以上でも以下でもないのだ。

だから、そういう"みんなと違う部分"を勝手にマイナスに捉えて、私の人間性を決めないでほしい。

どういう人間かを知りたいなら、もっと趣味とか聞いてくれたらいいのに。好きな映画とか、好きな音楽とか、休日は何をしているかとか。
その方がよっぽど私という人間を説明することになるし、もし私が面接をする側だったら、過去よりも「今は何が好きで、何を考えているのか」を知りたいはずだ。

志望動機だって、たいした理由がなくても、ばか正直に「時給が高いからです」「休みが取りやすそうだからです」「家から近いからです」なんて書くと落とされるから（経験あり）不慣れな敬語のそれっぽい言い回しで、なんとかスペースを埋めることを考えて、書く。
そんな上っ面の言葉に何の意味があるんだろう。

あと、証明写真高すぎ問題もある。
スーパーとかの脇にあるやつ、1回撮って6枚とかしか出てこないのに、普通に1000円くらいする。
プリクラなんて、目がぱっちりになるし、唇ツヤツヤの髪の毛サラサラで、多少の毛穴やニキビも隠せて400円なのに。

あーあ、めんどくさい。とにかくめんどくさい。

だからって、履歴書なんていらないよねって言いたいわけではない。
過去に何をやってきたのか、どんな経験が活かせそうなのか、そういった資料が必要不可欠なのも重々承知している。

でもそれ、最後の最後ではダメなんだろうか。

今まで自分がやってきたことは口頭でだって説明できるのだから、「いつ入学して、いつ卒業した」「いつ入社して、いつ退社した」という詳細は、面接後や採用された後にするのではダメなんだろうか。

志望動機に関しては、面接で真っ先に聞かれるし、面接官もメモを取るのに、事前に書いて提出する意味が分からない。
用意してきた文面をなぞるより、熱意があれば尚更、会話のやりとりから出てきた言葉の方がたとえ拙くたって伝わるのではないか。

就活を放棄した私が偉そうに言うことではないのは分かっているけど、この「もやもや」はいつか言語化しておこうと思っていた。

私が今まで受けてきた面接の全てがそうだったわけではなかった。
思えば、比較的長く円満に続けられた職場では、やはり面接の時から"今の私"を見ていてくれたように思う。

生活するためには働かなければいけない。そのためには一連の流れを避けては通れない。
何をするにも、息苦しさがつきまとう。