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香りについて

働くようになってから、随分香りに敏感になったように思います。
いつも寝る前は、無印の柑橘系のルームフレグランスをワンプッシュ吹かせます。
そうすることで、1日の終わりに、自分への小さなご褒美を与えている気がします。

ハンドクリームの香りもこだわるようになりましたし、
香水も使い分けるように。

使いわけるといっても、私の手元には二種類しかありません。
Miss DiorのBLOOMING BOUQUETと、SHIROのSAVON。
デートのときはMiss Diorの香水を使って甘すぎず、大人っぽすぎない香りを纏いたいし、
仕事のときは、SHIROのSAVONで爽やかな落ち着く香りをつけたい。

香りは目に見えるでもないし、持続性はないけれど、
癒しや目に見えないお洒落を含んでいるように思えるから、
私はこだわるのだろうと思います。

私のお気に入りの小説、山田詠美さんの「Sweet Basil」の中で、
主人公の女の子が、恋のライバルであるクラスメイトに、何の香水をつけているのかを聞く場面があります。
その時の返答に、初めて読んだ当時の私は、小さな衝撃を受けました。

「秘密なの。すごく私らしい香りだと思うから、誰にも使って欲しくないの」

山田詠美 「放課後の音符」の中の「Sweet Basil」49頁 新潮文庫より引用

私らしい香りって何だろう。
甘いバニラの感じではないのは確かですが、
今でも確実に分かっているわけではありません。
それでもやはり、いつかは自分らしい香りというものを見つけたいです。

背伸びをしすぎず、でも、変に自分を小さくも見ない。
等身大で、自分の個性を表している香り。
そんな香りがいいです。

香りは記憶にもなると思っています。
いつも彼に会うと、彼の使っている柔軟剤の香りなのだと思いますが、
「あー、彼の香りだ」なんて考えます。

だから、「これが自分の香りだ」というものを身に纏わせて、
誰かの記憶に香りごと、残ることができたら、
なんだかちょっぴり素敵だな、なんて思うのです。

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