って思うこと、ない？

あたしはあるよ。

例えば、山奥の温泉に行って、周りに目隠しとか何なんにもないような露天風呂で満天まんってんの星空を見上げてるとき。

なんでか分かんないけど、お風呂に入って綺麗なものを見てるときが多いかな。

身体はぽかぽかに温まってて、顔には冷たい空気が当たって気持ちいい。
綺麗なものしか目に入んないし、シアワセ！って思う。

でもね、あたしバカだからうまく言えないんだけど、こういうときに変な気持ちになるんだよね。

このまま真っ裸で飛び降りてやろうかな、とか思っちゃったりするの。

実際はできないよ？
あたしビビりだし、痛いの無理だもん。
子供産むなら無痛ブンベン派。今関係ないけど。

フツー、幸せなら死にたいなんて思わないじゃん？
でも、きれいな景色を見て、ああ幸せって思ってるときほど、月曜になったら仕事行かなきゃとか、姑にまた嫌味言われたなとか、いや〜なこと思い出しちゃうんだよね。

で、ここで人生終らせられたらいいのにって思うの！

ただ、そういう時思い浮かぶのってやっぱ、親とか、旦那とか、友ダチの顔なんだよね。

最近さ、生と死の間にたいした距離なんてないんじゃないかなって思うんよ。

うわコイツ急にスピリチュアルスピ系の話始めたって顔してる。
まあまあ、もうちょいだけあたしの自分語り聴いてよ。

みんな何とか生きてて、辛いときはモチロン、幸せな時ですら死にたくなることもある。
あたしみたいにね。

もうあっち側に行っちゃおうかなってなってる人を、ぎりぎりこっち側に引き戻すのが周りの人間なのよ。やっぱり。

でさあ、あたし何回も命救われてきてんのよね。
あたしの頭の中に浮かんできた人たちに。

最初のイメージはさ、とにかく真っ暗なの。
あっち側に行く道沿いにだけぼんやりと燈火ともしびがともってる。
そのまま前に進もうって気になるじゃん。

そしたら急に後ろが明るくなるの。
振り向くとね、あたしの大事な人たちがこっちを見てて、見事にみんな悲しそうな、泣きそうな顔してんのよ。
こりゃいかんって思って引き返すワケ。
帰りの道のりは煌々こうこうとした明かりに照らされてて、まぶしいのなんのって。

そんで、なんか自分ばっかり助けられて悔しくなっちゃってさあ。
だから今あんたにこの話してんの。
やられたらやり返す！みたいな。
ちょっと違うか。

なんだっけ。
そうそう、あんた元気すぎるし、殺しても死にそうにないけど、もしだよ、万が一にでも死にたいってなったらあたしのこと思い出してよ。

あんたのこと普通に好きだし、しゃーなしあんたの明かりになったげるからさ。

で、命救ったお礼に特上寿司おごりな？

以上、解散！

（1094文字）

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今回こちらの企画に参加させていただきました。
「あかり」というお題です。
テーマを決めて書くのは難しいですが面白いですね。
みなさんの作品も楽しみです。