日本の深層 【詩/現代詩】
(月光仮面は
まがいものであった
黄金バットとともに
子どもたちをだまくらかし
昭和の街を暗転させた)
そんな昔話を聞いているうちに
黄色みがかった令和の都市が
裏ぶれた昭和の界隈に変わり
奈良時代にまでさかのぼる
帰化人たちがたどり着いた土地は
まだ見ぬ故郷に似ていた
あのバイクは月からやって来る
まるで我々の先祖のように
ラフカディオ・ハーンが初めて見た日本
まだその名前を持たなかったが
月光仮面の出現は予測されていた
かれらは仮面をかぶって境内で踊り
日本の深層を探り当てた
さて今宵も村人たちは
月の仮面をつけて舞うのである
令和の小学校の校庭で
古代の小学生たちに取り囲まれて
壊れた蓄音機に合わせて踊る
怖るべき日本の深層が
地面から湧き出していた
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