とっておきの京都手帖2
<西国街道>
京都というには少し外れているが、京都らしさ、歴史、そして実益を兼ねた絶好のスポットがある。
それが西山・乙訓・大山崎地域だ。
昨今のオーバーツーリズム対策にも通じるので、ぜひ旅行プランで一考してほしい。
ちょうど京都と大阪の狭間、東京方面から新幹線で京都を過ぎると、右手に緑の山が迫ってくる景色がある。
そしてJR京都線、阪急京都線が並行しているくびれのような地域だ。
地形的にも京都から桂川、木津川、宇治川の三つの川が合流する要衝の地である。
山崎というと何を思い出すだろうか?
歴史通なら「山崎の合戦」。
光秀が天下をとった後に秀吉が打ち取るが、その決戦の場が山崎だ。
勝敗を決する分け目の闘いを「天王山」というが、この「天王山」もこの山崎にある。
天王山へのトレッキングコースに入り、歴史に思いをはせるのも一興だが、私がオススメしたいのは、サントリーのウイスキー蒸溜所だ。
阪急大山崎駅からは少し歩くが、JR山崎駅なら目の前にある。
NHKの朝ドラ「マッサン」(2016年)の記憶が新しいが、マッサンこと竹鶴氏が初代工場長として就任し、日本のウイスキー造りが始まる。
山崎が選ばれた理由は、この京阪神ではもっとも水と自然が素晴らしいということ。
京都は名水で満ちており、伏見の酒が有名だが、この山崎の水で作られたウィスキーもまた京都の酒だといえる。
このサントリー山崎蒸溜所にはぜひ行ってほしい。
ウィスキーの歴史がここにある。
ウィスキー蒸留所はサントリーでは山梨県の白州、ニッカでは北海道の余市、宮城県の宮城峡など地方にあるためになかなか行くチャンスがない。
このような近くに蒸溜所があるというのは奇跡に近い。
ここには蒸溜所ならではの愉しみがある。
琥珀色のウィスキーに囲まれるとワクワクするのは私だけだろうか。
滅多にお目にかかれない歴史もののウィスキーだけでなく、色がまだついていない作りたて原酒ウィスキーが格安で試飲できる。
品薄になっている「山崎」「白州」もとってもリーズナブルにいただける。
人気が高く、入場は、有料・無料ともにネットによる予約制で、コースによっては、抽選もある。
どちらにしても、旅行プランにあわせ、最新の情報で早めに予約をとることをお勧めしたい。
ここまで足を延ばしたら、ぜひ長岡天満宮や光明寺がお勧めだ。
JR京都線、阪急京都線なら近い。
京都の中心から少し離れている分、比較的空いている。
特に、光明寺「もみじ参道」は圧巻だ。
穴場である。
余裕がないと来ない場所、それが「山崎」といえよう。
※サントリー山崎蒸溜所の最寄駅は、JR 山崎駅、阪急 大山崎駅
※長岡天満宮と光明寺の最寄駅は、JR 長岡京駅、阪急 長岡天神駅
詳しくは各ホームページをご確認ください。
<(c) 2024 文 白石方一 編集・撮影 北山さと 無断転載禁止>
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