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実況、ムササビの視界。




スポーツに興味がない。

別に嫌悪感はないし、コンプレックスがあったりするわけでも全くないのだけど、

昔から、からっきし、興味がない。

なんというか、
シンプルな塩味のように雑味のない興味のなさ


そのため、五輪なんかがはじまると、妙なことになる。

東京五輪中に友人宅で呑んでいた時。
トランポリン競技を観ながら、

「真顔ですげーまっすぐ高く真上に飛んでる!」

と笑っていたら、

「一緒にオリンピック見たくない奴No.1だな」

と云われた。


また、今回の北京五輪。
これまた友人宅で呑みながらスキージャンプ競技を観ながら、

急斜面を猛烈に滑降した勢いでムササビの如く大ジャンプをしたる後、華麗に着地する様を、


しゅぐおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ
すちゃっっっ


と声を発しながら、
ジャージズボンの側面を手ではためかせたる後、
着地の決めポーズを取る楽しいモノマネをしたところ、

「お前は一生スポーツ観ちゃいけない人種だな」

と云われた。


おしごと上の付き合いも大変だ。

この時期は、ビジネスの本題の前に五輪の話題で盛り上がることが多い。

興味のない話題の会話ほど苦痛なものはない。

海老責め、石抱き、吊り責めなどの責め苦は児戯に等しい。

なんとか合いの手を入れたりヨイショをするなどしてその場を凌ぎながら、

長期戦に突入した際には、

「魚卵、魚卵。魚藍坂でイクラ丼」

「ビンドゥンドゥンは我が心の化身なり」

などというテキトーな相槌を入れてみたりするのだが、

五輪熱に浮かされた彼等は気づかずに、
トークに夢中になっているので、いつも感心する。


そんな折、ヤバイ友人グループから、
「トンデミ平和島」に行こうと誘われた。

嫌だった。

なぜなら、名前がふざけていてむかつくし、
ググってみるとそこは、

自由にジャンプが楽しめる「フリーゾーン」のほか、

障害物をよじ登ったり、くぐったり、飛び越えたり、なぎ倒したりと様々な方法でゴールを目指したり、

どうぶつタワーバトルをしたり

宇宙をテーマとしたウォールにチャレンジしたり、

約18mの距離をターザンのように一気に滑り降りたりする、

非常に恐ろしい施設だということが判明したからだ。


「美味しいものを呑みかつ喰らいながら、
ときにガンジャやケタミンなどを摂り入れて、
軽快なトークを繰り広げる、そんな豊かな時を過ごそうよ」

と説得を試みたが、
五輪熱で上記の如き狂気のアクティビティに飢えた彼等は、強引に話を進めようとしてくるので、


ときに情理を尽くしてトンデミの弊害を説き、
ときに脅迫まがいの暴力的言辞を用いて断り続けていたところ、

ついには、

来ないんだったらもう二度と遊びに誘わない!

という最後通牒をつきつけられた。


で、今日行ってきた。


どうだったか。


とても良かった。


具体的には、フリーゾーンで自由にジャンプが楽しんだほか、障害物をよじ登ったりくぐったり飛び越えたりなぎ倒したりと様々な方法でゴールを目指したり宇宙をテーマとしたウォールにチャレンジしたりどうぶつタワーバトルをしたり約18mの距離をターザンのように一気に滑り降りたりして、気づけば、


楽しかったねー!2時間あっという間だったねー!

とみんなで肩を組みながら小雨の東京湾の運河を眺めていた。



今宵は、そんな豊かな時を過ごした仲間たちと、

美味しいものを呑みかつ喰らいながら、

ときにガンジャやケタミンなどをを摂り入れて、

軽快なトークを繰り広げることにしようと思う。


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