白石ポピー

ファミチキになりらむ鶏の声を聴く

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  • 頭足類文学

    読まないと後悔することになるでしょう。

最近の記事

SOUL’d OUTとは精神のデベデイである。

POW!!!!!!! アッ オゥ アッオゥ アッ オゥ アッ アッ アッ オゥ アッ アッ アッ アッ アッ アッ アォ アォゥワッ アッ オゥ アッオゥ アッ オゥ アッ アッ アッ オゥ アッ アッ アッ アッ アッ アッ アォ アォゥワッ えっ? ここは上野動物園の『ホッキョクグマとアザラシの海』かって? ノン!!!!!(エコーを効かせて) これは、歌詞だ。 SOUL’d OUTの 1,000,000 MONSTERS ATTACK という曲の冒頭だ。 (

    • 終わりなき共感

       マンションの前の公園に、2本の木が生えている。1本の木は欅の木であり、もう1本の木は欅の木である。2本の木の間には立方体の遊具があり、その角は大きく欠けていて、それはもう立方体でなくなっていて、いつ黄身が出てきてもおかしくない状態だ。 「一度でいいからママと呼んでください」  嘆願する母親らしきをよそに娘は頭からズボンをかぶっている。わたしはそっと人工涙を点す。己のテンペラメントに符号させ、都合の良い面だけを取り上げる。砂場では2人の子どもが、新しい臓器をつくろうと画策して

      • オニドリル

        骨壺を抱きガソリンスタンドへ往く未亡人 中にはポケモンパン 清き線路に置き石をして天低し ささやかだけどウェルビーイング ズボンプレッサーでベーコン焼いて 庭の小屋であなた遠い目 献血で貰ったマグカップで殴る 小綺麗な小太りの小男の小走り 電車は二度と来ないのに いろんな花を見ていた どれもみんなキレイだね ポケットにスライスチーズが入ってた あのクリーニング屋のババア俺に惚れてる 税金はいくら払ったっていいね 「オニドリルが好きでした」

        • 結末代理店

          結末代理店で今日は「20字」を注文した。

        SOUL’d OUTとは精神のデベデイである。

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          16本

        記事

          しとやかで野蛮な蛇口

           突然だが、インドールという化学物質をご存知だろうか。  そうだよね、そうだよね。斯様なハイセンスな書史を嗜まれる諸君に於かれては、当然ご存知のものと拝察する。然し乍ら、敢えて釈迦に説法、孔子に論語、河童の川流れ、猿は気から、ごめんなさい。気がついたら知ってることわざ並べてました。解説者はインテリゲンチャたらねばというプレッシャーではみ出てしまいました。さらにいうと、然し乍ら、とか書きましたけど、変換して初めて漢字学びました。「ながら」は「乍ら」って書くらしいっすよ。乍。なん

          しとやかで野蛮な蛇口

          余熱

           もう2分以上待っている。  進むべき道路の向こうがむりむりと陽炎であいまいになっている。この信号機、壊れているのではないか。ずっと赤。なにをもってずっと赤いのか。ギラギラとした車の流れは絶え間なく続いている。どの車の中もクーラーで冷え切っているのだろう。外はアツアツ中はヒエヒエ。本日の最高気温はコロナになった時の体温より高い。あの時に飲んだキンキンのビールはうまかった。500ミリリットル1本で顔が火照って、コストパフォーマンスが良いなあと独り笑った。今はもう、ヒリヒリだ。局

          耳を盗まれる

           朝目覚めると、右耳が盗まれていた。  ベランダの掃き出し窓を開けたまま寝てしまったようで、そこから侵入されたのだろう。部屋の中に荒らされた形跡はなく、右耳だけが綺麗に盗まれていた。窓から流入してきたモノラルの初夏の風の音が右脳に抜けていく。何はともあれ盗まれたのだから、先ずは被害届を出すことにした。  「それで」  「はい」  「なぜ盗まれた、とお思いですか」  「いや、普通に、盗まれたからですが」  「盗まれたとも限らないですよね」  「ひとりでに耳がなくなるわけないでし

          耳を盗まれる

          室外機

          室外機、おかしな名だねでも素敵五月は嫌い?また遊んでね  ツイッターというソーシャルネットワーキングサービスで、かかる短歌が流れてきた。しかも、おすすめ欄に。かかる、かかる醜怪な歌を、私に、この私におすすめしてくださるわけか。どうもありがとうございます。おすすまれた私は実に爽快な気分です。炊飯器でパンティーを重ねてメンズビオレをぶち込んで炊いた時のかほりが鼻腔を充たします。先ずもって文意の掴みようがない。なぜか。ハナから文意など存在しないからだろう。だってそうだろう、この歌

          姉の滝

          姉の名の星座に背を向けて歩く。 姉が泥酔して帰ってきた時、私のことをしきりにツグコと呼んたことがあった。あの日から私は、ツグコを探し続けている。 欠けたグラスばかりを姉は使い続けた。いつか唇が切れるのを待っているのだ。 せっかくなので、お姉さん指から抜いていきますね。 僕は姉さんとそっくりで、僕はそれが嬉しかったし、姉さんはそれを心底嫌がった。 義姉のつくやわらかい頬杖、数多の男がその揚力に狂った。 姉は牧師と結婚した。退屈にしている自分をひどく愛していた。 お

          鏡狸

           なんだか頭の後ろがぴたぴたして眠れない。うつらうつらしながら洗面所に向かう。なんだかぴたぴたする。洗面台の三面鏡の左右を折り曲げ、後頭部を映してみる。そこには、なんの変哲もない小さいつむじがあるだけだった。なんだよ、ぴたぴたするなあ。頭を掻きながらふと、合わせ鏡になった左右の鏡の右側をのぞき込むと、2枚目の私の像がまばたきをしていた。あれ、私が目をつむってる姿は、見えないんじゃないか。だって、私が、目をつむってるから。うん、合ってるね。もう一度まばたきをしてみる。やっぱり、

          鼻(び)の炎(ほむら)

          春は檜、夏はぶたくさ、秋は蓬、冬は杉――。 四季折々の草木花のうつろいを一心に感受する、実に風流な粘膜かな。 朕の花粉症、鼻炎の話である。 花粉という、身体に害を及ぼし得ないボタニカルでロハスなちっちゃなつぶに、 甚だしい勘違いで鼻水なる無駄な汁を垂らしまくる、 アホ丸出しなナチュラルボーンの恋愛(アレルギー)体質の持ち主。 それが、朕。 なんの役割もなく、なんの役にも立たない、 いわば徒然なる汁を精製するエネルギー、 これをば今までの人生分かき集めて有効活用できたならば

          鼻(び)の炎(ほむら)

          イカ墨スパゲティを啜る女

           静謐の鱗粉が店内に満ちている。その粒子を鼻からふんだんに吸い込んでみると、安息感と倦怠感で肺臓がめのうのようになった。静謐なんて店からしたら決して有り難くないのだろうが、瘴気みたいな粒子が客の来店を阻んでいるようにも感じる。思いがけず魔法びんと化している店内に、午の陽がぬるぬると流入してきている。窓際の席には、女が座っていた。あまりの存在感のなさに入店してから今の今まで気づかなかった。テーブルの下まで伸びる長い黒髪は少しだけちぢれている。まだ注文は運ばれてきていないのに右手

          イカ墨スパゲティを啜る女

          5,000gのあたしの錯乱。

          ダイエット完了宣言から、早3ヶ月。 最近なんだかお腹が張るなあと思い、 計画的お腹下しを決行すれど改善されず。 もしやと思い、恐る恐る体重計に乗ると、 なんと体重が5kg増加していた。 お腹が張るというかもはや、 中身がいっぱいつまった甘い甘いものっでーすっ イェイ♪ ほんと、イェイである。 なんだか、感動してしまった。 動物の肉体というのは、厳しい地球環境を生き抜くために、 「最小の損失で飢餓を凌ぎ,最大の効率で栄養を貯蔵する」 設計になっているが、 こんな恥の

          5,000gのあたしの錯乱。

          #やってみた大賞 でやってみること考えてみた 〜血は立ったまま眠っている〜

          デイリーポータルZとnoteが共同で、 「#やってみた大賞」 なる記事投稿コンテストを開催しているという、 ファンシーな情報をキャッチしたので、 ここはひとつ、奮って応募してみようと考えた。 ところでよく「奮ってご応募ください」等というが、 奮って、ってなんなんだ。 うおーっ、ってことか。 たぎらせるのか、血を。 #血、たぎらせてみた ということか。 思えば、血、たぎらせたことのない人生だった。 何かに夢中になって取り組んだことが、ただの一度たりともなかった。 いや、も

          #やってみた大賞 でやってみること考えてみた 〜血は立ったまま眠っている〜

          純喫茶 盗掘

           クリームソーダの中に小さな人魚が泳いでいる。  人魚は炭酸に翻弄されてへらへらとたゆたいながら、下半身の鮮やかな紅色の鱗を煌めかせている。上半身は人間の女性のそれとまるで同じだ。巻貝の内側のような質感のふくよかな体を揺らしている。なぜが口が縫い付けられているのが痛々しい。  「さあさ、クリームと一緒に掬い上げてみなさい」  店主は、桃色と橙色の間の光を放つ宝石を埋め込んだ右眼と生牡蠣のような左眼でこちらをめっとりと見つめている。言われたとおりに掬い上げてみると、クリームの冷

          純喫茶 盗掘

          明朗の胎動

           こんな私なのに、プロポーズをしてくれて、本当にありがとう。  こんな夢のような夜景の中で豪華すぎるくらい素敵な食事、今まで味わったことがないよ。それに、吸い込まれそうにすきとおる爛々とした指輪。そしてなにより、想いのたくさん詰まった言葉で告白してくれて、涙が止まらないよ。本当にありがとう。ごめん、本当に止まらないや。  あなたがたくさん想いを伝えてくれたから、私からも告白したいことがあるの。びっくりするかもしれないけど、思い切って話すね。  私ね、私、実は、私。実は、想像妊

          明朗の胎動