Seiichi Shirato

いろいろ調べて生きてます。

Seiichi Shirato

いろいろ調べて生きてます。

最近の記事

嘘歴史怪談・海底電信

江戸風怪談じゃなくても、実話怪談フォーマットで違うものでもいけるような気がしたので、ちょっと習作。 ・・・・・・・・・・・・ 1850年8月28日、英国海峡海底テレグラフ社のジョン・W・ベレットは、指字電信機を前にフランス側から送られるメッセージをいまや遅しと待ち望んでいた。 指字電信機によってメッセージを受け取れば、彼は世界最初の商業用電信海底ケーブル敷設工事に成功したこととなる。 この日のために、彼は英国・仏国の両政府と交渉し、ドーバーからカレーを結ぶケーブル敷設の許

    • 嘘江戸怪談 その3

      久しぶりに一から十までデッチ上げた江戸随筆風の怪談を。設定はだいたいテキトーです。 ・・・・・・・・・ 西城藩お留守居同心頭の岩久保正衛門は、若いながら豪胆で実直な人柄で知られていたが、いまだに嫁の来手がなかった。 これは正衛門の屋敷に夜な夜な女の幽霊が現れるという噂があったからである。 このことを正衛門に問うと、 「誠でござる。夜九つの頃、髪を振り乱した女が屋敷の何処かに現れます。私や家人は昔からのことで慣れておりますが、下女などは怖がって、なかなか居つきません。困ったもの

      • 嘘江戸怪談 その2

        偽の江戸随筆風怪談の二作目です。基本的に設定はほぼ嘘です。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 御筒持組だった旗本長坂左衛門尉は家禄を総領に譲ると、千駄ヶ谷に隠居所を構え、在所から来た下女一人だけを連れてそこで暮らしを始めた。 彼は俳号を桃酔といい、温和で洒脱な人柄から俳諧仲間からたいへんに慕われ、隠居所には多くの俳人が出入りした。 ある夜、彼が寝ていると、下女が大声を出し寝所に駆け込んできた。 「庭で物音がしたので、灯りをもって行ってみると、大きな毛むくじ

        • 嘘江戸怪談 その1

          なんか勢いで、一から十までデッチ上げた江戸随筆風の怪談(現代語訳風)を書いてしまった。 江戸近郊の地名以外は、だいたいテキトーである。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  白川右膳は、奥州守川家中の食禄百石取りの武士である。 江戸詰めとして芝の上屋敷に居していたが、たいへんな健脚で、酒よりも女よりも、あちこち出歩くのを好んだ。  文化九年夏、彼は堀の内の御祖師を参ろうと、夜の明けぬうちから上屋敷を出発し、足早に四谷から内藤新宿を抜けたため、巳の刻には参詣を

        嘘歴史怪談・海底電信

          +2

          都心クルーズ

          都心クルーズ

          +2
          +7

          トキワ荘通り協働プロジェクトのあれこれ

          トキワ荘通り協働プロジェクトのあれこれ

          +7

          ヴェルナー・フィンク伝説

          【投げ銭システム:有料に設定されていますが、無料で最後まで読めます。奇特にも気に入って頂けたら、購入してやってください。購入して頂いた方に千の感謝を!購入して頂かなくても百の感謝を!】 ナチス時代のジョークにこんなものがある。 ヴェルナー・フィンクが舞台でパフォーマンスをしている時に、お客さんにこんな質問をした。 「Gで始めるドイツ人の名前をお答えください。ただし、知性的で、アーリア人らしい容姿、その上、大臣にまでなった偉い方です」 すると、客席から「ゲーリング!」と

          有料
          100

          ヴェルナー・フィンク伝説

          ある諜報機関出身者の人生

          【投げ銭システム:有料に設定されていますが、無料で最後まで読めます。奇特にも気に入って頂けたら、購入してやってください。購入して頂いた方に千の感謝を!購入して頂かなくても百の感謝を!】 「OSS」ことOffice of Strategic Servicesは、1942年にルーズベルト大統領によって創設された諜報及び特殊工作の秘密機関である。 長官である「ワイルド・ビル」ことウィリアム・ドノバンによって集められた多くの若者たちは、OSSの工作員として訓練され、情報収集やレジ

          有料
          100

          ある諜報機関出身者の人生

          +15

          東京近郊の水路

          東京近郊の水路

          +15

          黒シャツの日本人 下位春吉

          (試験的に前に書いた文章を公開) 下位春吉は明治十六年十月二十日、福岡県士族の井上喜久蔵の四男として福岡県朝倉郡で生まれた。 明治四十年、東京高等師範学校英語科に入学。この学費を捻出するために喜久蔵は東京に下僕として働きをしたらしい。同年、東京の下位嘉助の養子となり、井上から下位へと姓が変わる。 この辺りの経緯は良く分からないが、おそらく下位家の息女である富志(明治二十三年生まれ)との結婚による養子縁組で四年後には長女である桃代が生まれている。  高等師範在学中の春吉

          黒シャツの日本人 下位春吉

          日本人によるパンチョ・ビリャ暗殺計画?

          (試験的に前に書いた文章を公開) 1911年、独裁者であったポルフィリオ・ディアス大統領への反抗として始まった「メキシコ革命」は、国家を二分する内乱として10年以上も続いた。 反ディアスの象徴で後に大統領となるフランシスコ・マデーロの呼びかけに、さまざまなメキシコ人革命家、農民出身の革命家エミリアーノ・サパタ、中流家庭出身ながら法律と経済を学んだインテリのベヌスティアーノ・カランサ、老獪な地方政治家であったアルバロ・オブレゴンなどが反乱の烽火を上げた。 しかし、日本

          日本人によるパンチョ・ビリャ暗殺計画?