封印される村【お題:冬の色 #シロクマ文芸部】

冬の色は無い。

僕は合掌集落で知られる五箇山地方の利賀村に住んでいる。多いときでひと晩に1mちかく雪が積もるこの村は、冬になると掛け軸に表装された水墨画に封印されたかのようになる。

色は無くなり、音も雪に吸われてしまう。

たまに買い物をしに山を下りると、クリスマスで賑わう街の艶やかさに戸惑う。

長い冬を超え、雪が溶けて封印も解かれると色が生まれる。フキノトウの緑色、畑の土色、ご婦人方がボランティアで植えている花の鮮やかな色。

獅子舞を笛や太鼓で囃し立てる。

生き延びて厳しい冬を越せたことを祝う。

さて、この1年はどう生きようかと思う。



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