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最後までわからない病名は…Ep1

小学校の教室
休み時間も終わる頃
何が起こったか一瞬わからなかった
椅子に座ろうと
何も考えずに
腰を下ろした途端に
床に寝転がっていた
座るはずだった椅子は
私の隣に
整然とある

周りの友達は
いつものことと…笑っている
私も笑った
でも立てない
みんなは移動教室に行ってしまった
しばらくしても
立てない
ひとりぽっちの教室
誰か女友達がそばにいてくれたよう…

立てない私は
しばらくすると保健室に運ばれ
そこから
記憶にはないが
何らかの方法で病院に運ばれた

入院…
立てない理由はなかなかわからなかった
ようやく検査でわかったこと

最後までわからない病名は
「椎間板ヘルニア」

腰には着物の帯のようなベルトが巻かれ
その両端にはベッドの下まで続く皮ひもがついていて
その皮ひもは一つに合わさり
15Kgの重りにつながれていた。
私は寝たきり
朝になると
重りに引っ張られ
私の体はベッドの下にうずくまっている

周りは高齢の人ばかりで
10才の私はとてもかわいがられた

座ろうとする人の
椅子をサッと引くという
こどもたちのたわいのないいたずらは
日常茶飯事…
何でもないことだったが
禁止になった
私の椅子を引いた友達のことが
気になった
自分を責めているか
とても怒られたのか
学校には行ってるのか

それが誰かは
ずっとわからないままだった
私はなぜかホッとした

体の痛みを感じるより
私の入院をとても心配したおばあちゃんが
買ってくれたリカちゃん人形が
そばにいることの方が嬉しかったから

妹は「いいな、リカちゃん…」と
羨んだくらいだから

運動会のかけっこ
一番のゴールテープを切るのは気持ちよかった
でも
この時から
ゴールテープは遠くで見るものになった