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「Scratch(with 稲葉浩志)」を聴いて感じたこと

今までTKがゲストボーカルに呼んだ人って、儚く消えるような透明感とか、遠くから語りかけるような響きを持った歌声の持ち主が多い。実際それらの(というか今までの多くの)楽曲では消えていくものや離れていくものにフォーカスして表現されてきたから、TKの中で思い浮かぶ声(人)がそういうベクトルだったんだろうと思う。

でも今回の稲葉さんみたいに、めちゃめちゃ存在感強くて生命力の塊みたいな声の人に歌ってもらうということは、失っていくもの以上に確かなものや、消えない強い意思を歌に込めたいという意識の表れだと思った。歌詞でもそう表されているように。

稲葉さんのようなレジェンド、圧倒的な憧れの存在とコラボっていうことが話題として先行してしまうけど、つまりはTKが今生み出して届けたいことをよりブースト出来て、ぴったりハマるのが稲葉さんの歌声だったんだと思う。TKは常に自分の表現と音楽に対して真摯で、それを全うするための衝動や熱量を楽曲(デモ)から感じられたから、稲葉さんの「迷いのようなもの」は消えたんじゃないかと。そんなふうに純粋じゃなきゃ、こんな素晴らしく説得力のある強度の高い音楽は生まれないでしょ……そして稲葉さん大感謝祭だよ……。

儚く消えるものの美しさと悲しさをそっと見つめるような、遠く離れていくものへの哀惜で留まっていたところから、もう一歩踏み出すような音楽を生み出して届けようとしているんだって、曲を聴いて歌詞を読んで、思った。そんな“今”のTKの強い意思と、込められた熱を受けとれることが物凄くうれしいです。

「As long as I love」も楽しみ。

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