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世界平和のために働く白忍者。

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最近の記事

秦氏と大久保長安1

秦氏とは何者か? 秦氏(はたうじ)とは、いわゆる渡来系の氏族と言われています。 日本の国家創世記から国の中枢に存在し、その技術や知識を惜しげもなく国づくりの為に使ってきたと考えられています。 なぜ、その様に中枢にいながら権力の座に就かず、常に補佐の役割を演じてきたのか?それには諸説あります。 様々に考察している方がいらしゃるので、ここでは詳しく持論を展開するのは避けます。 伏見稲荷と松尾大社 秦氏は、現在その血筋は細かく分かれています。 東家、南家は松尾大社、その他の荷

    • 千代〜生まれ変わりの魂〜 第4話

      村外れの峠は何度も遊びに来た、お気に入りの場所のひとつでございました。 そこは、眼下に海を見下ろすことのできる場所で、遠く遥かに、うっすらと群青の海が見えてございました。 春のこの季節は、空気はふんわりと霞んで、一度だけ行商人が見せてくれた真綿の手触りを思いださせるものでございました。 振り返れば山々の緑のひだが折り重なり、深い谷を流れるであろう、沢の水の音が想像されました。 もうここへ戻ることは一生ないと、しっかりと目に焼き付けたのでございます。 江戸での思い出は

      • 千代〜生まれ変わりの魂 第3話−2

        最初にヒプノセラピーを受けてから、自分の前世に興味を持つまで五年ほどの月日が経っていました。 それまでは、過去生があるとも無いとも、そんな話があるんだなと思った程度でした。 ヒプノセラピーでの体験は鮮明で、過去に戻った私は夢の中にいるようでしたが、自分の意志で自由に動き回れるほどにはなりませんでした。 それでもその時の感覚ははっきりと覚えていて、年月を重ねても記憶はあまり薄れることはありませんでした。 この時の様子を録音したはずでしたが、データがどこかへ行ってしまいました。

        • 千代〜生まれかわりの魂〜第3話

          最初にヒプノセラピーを受けたのは、同じ病気を患った知り合いがセラピストになったばかりで、練習を兼ねたお試しのセッションに誘われた時でした。 ヒプノセラピーというのは、その治療法が考案された当初は、自分が小さい頃に受けたトラウマの解消のため、その原因となる時代に遡り、自身の視点を変えて出来事を受容することで、心の傷を治療する精神的療法の一つです。 治療の過程で、小さい頃よりもさらに過去、生まれる前の記憶を遡る患者が現れ、「前世療法」と言う名前で知られるようになりました。

        秦氏と大久保長安1

          千代〜生まれかわりの魂〜第2話

          ばばさまは、一人で里を離れて山の中に住んでおりました。 なぜ、そこに一人なのかは聞いたことがございませんでした。 年も幾つなのか、子はいるのか、いつからそこにいるのかさえ全く知りませんでした。 ただ、淡々と森の中で過ごす毎日でございました。 もう年でもございましたので、力仕事などは里の「若いし」と言われる若者が時々手伝いににきておりました。 初めは、ガタイの良い男の人が怖く、彼らの来ているときは物陰にそっと隠れておりましたが、徐々にさまざまな遊びを教えてもらえるようになり、彼

          千代〜生まれかわりの魂〜第2話

          千代〜生まれかわりの魂〜第1話

          #ジャンププラス原作大賞 第1話向かい風に含まれる雪の粒が頬に刺さるようでございました。 あたりはすっかり暗くなり、かか様の手を離さずにいることだけが命綱。 昼間はやんでいた雪が、いつの間にか激しく降り始めているのにとと様もかか様も足を止める様子がございません。 「これ以上はこの子が進む事は難しゅうございます」 想いが通じたのか、風に逆らって絞り出されたかか様の声も風にかき消されるようでございました。 その時でございます。 急に息ができるようになって風が止んだことに気が付き

          千代〜生まれかわりの魂〜第1話

          千代 〜生まれ変わりの魂〜あらすじ

          #ジャンププラス原作大賞 江戸時代初期の動乱の時期、武田信玄の遺臣であった大久保長安。 家康に仕え、江戸幕府の金庫番として幕府に莫大な財産をもたらしたが、その死後不正な蓄財を責められ、墓を暴かれた後に断首。その子供たち男子七人は全員切腹の上にお家断絶。 母は大久保長安の長女、美香。父を伊賀忍者の血を引く服部半蔵正重に持つ「千代」。 彼女は「私」の前世であった。 まだ戦国の色が濃い激動の時代を男まさりに強く生き抜く彼女の数奇な運命を、紐解かざるを得なくなった現代に生きる「私」

          千代 〜生まれ変わりの魂〜あらすじ

          千代 〜生まれ変わりの魂〜 3

          ばばさまは、一人で里を離れて山の中に住んでおりました。 なぜ、そこに一人なのかは聞いたことがございませんでした。 年も幾つなのか、子はいるのか、いつからそこにいるのかさえ全く知りませんでした。 ただ、淡々と森の中で過ごす毎日でございました。 もう年でもございましたので、力仕事などは里の「若いし」と言われる若者が時々手伝いににきておりました。 初めは、ガタイの良い男の人が怖く、彼らの来ているときは物陰にそっと隠れておりましたが、徐々にさまざまな遊びを教えてもらえるようになり、彼

          千代 〜生まれ変わりの魂〜 3

          千代 〜生まれ変わりの魂〜 2

          春になるといつも思い出されるのは、あの日のことでございます。 ばば様が竈の支度を始めておりました。 外を慌ただしく人の過ぎる気配がいたしておりました。 低いけれど、鋭く緊張感のある声が短い言葉を交わしているようでございます。 ばば様は、様子を見に扉の外に出ておりましたが、すぐに戻り「何でもありゃあせんよ」と優しい声で私に話しかけました。 ばば様の開けた扉から見えた雪が太陽の光を反射し、暗闇におりました私の頭の芯まで射抜くほど強く光ってございました。 その日の朝げは温かい汁で

          千代 〜生まれ変わりの魂〜 2

          千代 〜生まれ変わりの魂〜 1

          向かい風に含まれる雪の粒が頬に刺さるようでございました。 あたりはすっかり暗くなり、かか様の手を離さずにいることだけが命綱。 昼間はやんでいた雪が、いつの間にか激しく降り始めているのにとと様もかか様も足を止める様子がございません。 「これ以上はこの子が進む事は難しゅうございます」 想いが通じたのか、風に逆らって絞り出されたかか様の声も風にかき消されるようでございました。 その時でございます。 急に息ができるようになって風が止んだことに気が付きました。 「煙の匂い

          千代 〜生まれ変わりの魂〜 1

          千代 〜生まれ変わりの魂〜 プロローグ

          最初にヒプノセラピーを受けたのは、同じ病気を患った知り合いがセラピストになったばかりで、練習を兼ねたお試しのセッションに誘われた時でした。 ヒプノセラピーというのは、その治療法が考案された当初は、自分が小さい頃に受けたトラウマの解消のため、その原因となる時代に遡り、自身の視点を変えて出来事を受容することで、心の傷を治療する精神的療法の一つです。 治療の過程で、小さい頃よりもさらに過去、生まれる前の記憶を遡る患者が現れ、「前世療法」と言う名前で知られるようになりました。

          千代 〜生まれ変わりの魂〜 プロローグ