飛行機でのトラブルを乗り越えて無事、山東省の青島に到着。
異国情緒溢れる赤瓦の家々、きらめく海、花が咲き乱れ、鳥がさえずり、気候が暖かく、とにかく楽しい。
中国でも、こんなに陽キャな雰囲気の街はそうそうないだろう。
働く気になんか全くならないのに、各所から仕事の連絡がくる。

ということで、以下は特別編・黒丸豆板醤子（くろまるとうばんじゃんこ）のつぶやきであり、白丸みそ子とは無関係の人物の日記として読んで欲しい。
白丸みそ子はおよそ非常識でありながらも、さすがに平日の昼間からビールを飲みまくったりはしない、ある程度の社会常識を備えた規律を重んじる人間なのだ。

青島・小魚山からの眺め

青島の観光スポット・小魚山の頂上からは第一海水浴場の砂浜が一望できる。
天気は快晴、久しぶりにみる海にワクワクする。

小魚山から歩いて第一海水浴場へと向かう。
途中、「うちの猫だ」と教えてくれた、シャム猫を散歩するおじさんに出会う。
おじさんはこの自慢のシャム猫がどこかへ行かないか不安らしく、何度も頭を撫でたり、「ゆっくりな」と声をかけたりしている。
おじさんに「リードをつける」という方法を示唆してあげればよかったなと思う。

第一海水浴場に到着

気温は23度だが、もう泳いでいる人がいた。
ビーチボールに熱中する真っ黒に日焼けしたおじさんたちもいた。
人のことをいえた義理ではないが、彼らはちゃんと仕事をしているのか不思議に思う。

腹はだいたい常に空いているので、砂浜近くのレストランでサバ餃子をいただく。

サバ餃子は海産品が豊富な青島の名物料理だ。
皮がもっちもちでおいしい。
サバ特有の風味を軽やかにする、にんにくたっぷりの甘醤油に酢を入れていただく。

そして、歩いて喉が渇いたので、ジョッキのビールを注文することに。

そう、青島の名産品といえば、なんと言っても青島ビール。
愛媛に行ってリンゴジュースは飲めないし、静岡に行ってプーアール茶は頼めないのである。
それは失礼というものだ。
なので、やはり、平日の真っ昼間とはいえ、ドリンクメニューの最上部に書かれている「青島ビール」を無視して、「お茶で」というわけにはいかない。
今は目の前のビールに集中して、仕事のことは後で考えよう。
黒丸豆板醤子はそう思った。

昼からビールを飲んで調子に乗ったついでに、青島ビール博物館に赴いた。

青島ビールの歴史はおよそ120年に及ぶ。
1898年、ドイツの租借地となった青島。
その後、1903年にドイツの投資家が、「ゲルマンビール会社 青島株式会社」を起こしたのがきっかけで青島でビールの製造が始まったという。

さらに第一次世界大戦後は、ドイツに代わって日本が青島を占領。
ドイツ人経営だった「ゲルマンビール会社」は、日本の「大日本麦酒」に買収され、日本企業が青島ビールを製造するようになった。
ちなみにこの時、工場が拡大され、ここ青島の地では札幌ビールと朝日ビールまでもが製造されている。

なお、同ブランドは、一年くらい前に株価が暴落する事件があったような気もするが、だからこそ今は管理体制が厳しくなって品質が保証されているんじゃないかと、楽観的に考えることにした。
青島の陽気な街の雰囲気には、人の心を「まーえーじゃないか」という気分にする働きがあるようだ。

生産現場の見学後に振る舞われるビール。
うん、うまい。

完全ほろ酔いで、北ルートで回収し忘れた河南省・商丘へと向かう。