#20 リモート会議にアイコンで参加して信頼を失った話
ちょんまげ前髪にスウェットで仕事をする月曜日。
そろそろおやつのドーナツでも食べようかと思っていた14:57、突然中国のSNSが鳴った。
仕事用のグループチャットに送られてきたのは、ミーティングの招待状。
しかも、開始時刻は3分後である。
つんだ…。
今日が中国の(日系企業の)お客さんとの大事な会議であることをすっかり忘れていたのだ。
いや、しかし、3分前に会議のリンク送るとか社会人としてNGではないか。
なぜ数日前に設定しなかったのだ。
または30分前にリマインドしてくれるだけでもよかった。
もしかしてミーティング設定すべきだったのは私か?
てか、そもそも予定に入れてなかった自分が悪い。
こんなやつは社会人でもなんでもない。
うわあああああ……。
仕方なくわたしはパンダ🐼のアイコンで会議に参加することにした。
白丸みそ子であることがバレたら5年間続いてきたこの取引、切られるかもしれないくらい真面目な案件なのに、全くもっていい度胸である。
先方は日本人男性二人共にスーツ、中国人女性スタッフ一名はキレイめスタイル、全員顔出し。
女性「白丸さん、お疲れ様です」
🐼「お疲れ様です」
しれっとパンダで参加。
女性「……資料拝見しました、ありがとうございます。今日はまず、A部長から話があります」
A部長「実はわたくし、この度帰任することになりまして、来年度のプロジェクトはBが担当します」
B部長「初めまして、わたくし、Bと申します」
B部長本人、顔出し。
しかも、これが初顔合わせ(一方のみ露出)。
B部長本人、画面越しにパンダのアイコンに頭を下げる。
🐼「わ、わたくし、白丸と申します…。よろしくお願いします…」
パンダのアイコン発話中🐼
先方「……長い沈黙」
いや、これ絶対、顔出せよって思ってるやつじゃん…。
…中略。
B部長「今後ともどうぞよろしくお願いします」
B部長本人顔出し。
B部長本人、画面越しにパンダのアイコンに頭を下げる。
🐼「こちらこそどうぞよろしくお願いいたします」
パンダのアイコン発話中🐼
先方「……長い沈黙」
🐼「(ついにプレッシャーに堪えられなくなる)あ、あの…四月中に⚪︎⚪︎(地名)に参りますので、その時ご挨拶させてください」
そんな予定はなかったが、もう、そういうことにしよう。
このままパンダのアイコンだけの情報開示で来年を迎えては、あまりにも無礼千万である。(今年度のプロジェクトは間もなく終了)
B部長「承知いたしました」
双方「……長い沈黙」
リモート会議は、アイコンで参加すると誠意が伝わらないことが実証された日であった。
おわり
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