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🇨🇳#19 河南・永城 トゥクトゥクチキンレースで目指す駅までの道のり

ここまで順調かつ華麗にこなしてきたように見せかけている中国一周の旅も、ついにちょっとした失敗をおかしてしてしまったようである。

原因は、わたしの怠惰な性格にある。
少林寺拳法の少林寺や龍門石窟などたくさんの有名な観光地がある河南省を、諸般の事情から、降り立った既成事実を作るためだけに、端っこをかすめて通過しようとしたところ、本当に何もない場所に来てしまったのだ。

河南省全体図

その駅の名前は、永城北駅。
たぶん、訪日外国人観光客がわたしの埼玉のボロアパートの最寄駅に観光に来てしまったような状況だろう。
わたしの日本の住居の最寄駅には、チェーンのコーヒー屋もなければ泊まれるホテルもないのだ。
駅前のコンビニなんか、歩いて片道15分もかけて23時に行ったら閉まっていて、犬(みそ)と一緒に愕然としたことがある。

いや、正確には、わたしが今いる永城北駅に観光地はある。
ただ、下調べが不十分で、この駅ではなく、少なくとも近くの「商丘駅」とか、外国人が泊まりやすいところにすればよかったのだ。

そもそも、この永城北駅周辺に、外国人が泊まれるホテルがほとんどない時点でそれに気づくべきだった。
(中国で、外国人が泊まれるホテルは公安から許可を得た、設備などが一定レベル以上と認められたホテルという決まりがある。基本的に、あまりにも安いところに外国人は泊まれない)

夕飯が食べられないピンチ

ホテルの人はとても親切

窓からの景色を見て、ある程度想像していただけるかもしれないが、結構ハードなエリアである。
着いたのは夜だったのだが、ホテルの周りに野良犬がたくさんいて、夕飯を外で食べるのは諦めることにした。

しかし、だ。
ここでまた問題が起きた。
中国全土に張り巡らされていると信じてやまなかった日本のウーバーイーツ的デリバリーサービスアプリ・美団を開いてみると、周りにデリバリー対応店がほとんどないのである。

カンガルーのアイコンも体育座りしてしまう始末だ

仕方なく、唯一営業しているピザ屋さんをおっかなびっくり利用してみたら、あらびっくり、おいしいじゃない。
ペロリと一枚完食。

きっと、どこかの大都市で修行したのだろう

そして、特にすることもないのでこの日は眠ることに…(🐷まっしぐら)。

永城の地に眠る有名人

さて。
秦の始皇帝の死後、つまりキングダムのあとの混乱の時代にのしあがってきた有名人といえば、項羽と劉邦であろう。

天下統一で対立する2人、どう考えても秦を滅ぼした楚の天才武将・項羽が勝つに決まってるでしょと思いきや、酒がたくさん飲めるのと、人柄がいいことくらいしか取り柄がなさそうな漢の劉邦が、みんなの助けを借りて勝っちゃうのだ。

成績がビリのギャルが名門大学に入ったり、赤毛のヤンキーがバスケで活躍したり、人間というのは今も昔も、意外性、逆転劇というのが大好物みたいである。

劉武とその家族のお墓がある芒碭山(5A)

そして、そうやって民に担がれてヒーローになった劉邦の孫・劉武が眠るのが、ここ芒碭山だ。
注意していただきたいのは、劉邦本人ではなく、孫。

そう、劉邦は江蘇省・徐州出身で、お墓は陕西省の咸陽にある。

つまり、超有名人の劉邦はここには眠っていなくて、その孫・劉武の墓である。

もちろん、劉武も漢朝梁国の王になっていて、それなりに逸話はある。
でも、やっぱりおじいちゃんが有名過ぎて、おじいちゃんが観光地の所々で幅を利かせているのだ。
うん、もう少し土地に眠ってる人にスポットライトをあててあげてほしい。

大蛇を退治した劉武のおじいちゃん・劉邦の像
トマトスープ麺

観光後は遅めの朝ごはんをとることにした。
永城はウイグルや内モンゴルに続く小麦粉の名産地とあって、麺のメニューが豊富である。
こちらのトマトスープ麺は、トマトの酸味でさっぱりとした味わいで、朝ごはんにぴったりだった。

…ということで。

ちょっと雑だけど河南省での任務は果たしたぞ…。
いつか時間がある時に改めて来よう。
じゃ、またね…。

で、鉄道駅へ向かおうとしたら、タクシーが捕まらない。

…まあ、落ち着こうじゃないか。
わたしには無敵の配車アプリ・DiDiがあるのだから。

が、配車アプリで全ての車種を選択して呼び出しても、10分…20分…30分…いっこうに応答がないのである。

まずい…このままでは列車に乗り遅れてしまう…。
河南省の良さを紹介しきれていないわたしに、河南省政府が怒って足止めしているのかもしれない…(妄想)。

すると、絶望したわたしの前に、トゥクトゥクに乗ったおばさんが現れた。

おばさん「どこ行くの?」
わたし「鉄道駅まで」
おばさん「…遠いな」
わたし「(そういわず!)いくらなら行ってくれる?」
おばさん「ウーン……8元(160円)
わたし「ぜひ‼️(即答)」
おばさん「ただ、この車、駅には入れないから、手前までね」
わたし「全然OK‼️(間に合えばなんでもよし)」

スリルがお好き

しかし、このおばさん、「刺激欲求」の傾向にあるのか、なぜか道路の真ん中を走るのだ。

わたし「ちょっ…危なくない…?」
おばさん「大丈夫、大丈夫。わたし、怖くないから」
わたし「(いや…わたしが怖い)」

もはや反対車線を走っている…。
渡りに船と思って乗り込んだけど、これはあの世行きトゥクトゥクだったのかもしれない。

なんか、お花畑も見えてきたし…。
やっぱり……。

菜の花畑

おばさん「さあ、降りて。駅はあっちだから」
わたし「え…着いたの?…あ、ありがとう!」
気をよくしたわたしは2元プラスして10元をおばさんに支払ってトゥクトゥクを降りた。

景色は美しいけど

しかし…駅が…
全然近くない…。

それでも必死の競歩で、なんとかギリギリで駅に到着。
そして、おばさんが入れないといった駅のロータリーには、おばさんが乗っているのと同じタイプのトゥクトゥクがたくさんとまっていた。

無事到着

サラバ、河南省、また会う日まで。
これより、詩仙・李白が眠る、安徽省・馬鞍山市を目指す。

現在の総移動距離 約16080km
現在の33地域クリア率  33分の16
降り立った都市 21
①上海②新疆ウイグル自治区(カシュガル/ウルムチ/トルファン)③甘粛(敦煌/蘭州)④青海(西寧/海南チベット族自治州)⑤寧夏回族自治区(銀川)⑥陕西(西安)⑦山西(平遙)⑧河北(石家庄)⑨内モンゴル自治区(フフホト/ウランチャブ)⑩北京⑪天津⑫遼寧(瀋陽)⑬吉林(長春)⑭黒竜江(ハルビン)⑮山東(青島)⑯河南(永城)
飛行機  4回
新幹線  9回
寝台列車 4回


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