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本棚は段ボール Vol.20 『そうしないことはありえたか? 自由論入門』/高崎将平

 自由論、「人間は本当に自由なのか?」それとも、決定論、「全てははじめたから決まっている」のか。

考えたことはあったけれど、責任や他の概念との関連で考えていくと、ますます分からなくなるのが、奥の深いテーマだと思う。

ただ私個人としては、そもそも自由という概念自体人間の想像から生まれたもので、自由論も決定論も、人間の考え出した「時間」という概念の過去が変えられないということに起因している気がする。

過去が変えられないから、すべて決まっていた気がするし、未来は選べるから、自由がある気がする。
そもそも時間が存在しなければこの議論が発生することはなかったのだと思う。

わたしは、「そうしないことはあり得なかったよ」と、過去を肯定して欲しかったから本書を読み始めたのだけれど、読み終わる頃にはそんなことはあまり関係なくなってしまった。

こんなことを言ってしまっては元も子もないけれども、時間の概念が最近間違っていると思っていて、人間の限界が作り出した概念が「時間」であったり、「科学」であったり、「自由」であったりするけれども、本当の本当に、真実にはそんなものは存在しないのではないかと思う。けれど、その真実は人間には到達できない領域にあるのではないかと思う。

だったら、もうみんな好きにしたら良い。自由があると思いたいならば思えばいいし、ないと思いたいならばないと思えば良い。

あるのは時間の流れの先にある未来ではなく、可能性という現在の形だけで、だから、そもそも「自由」以前に、「自由という概念」自体が根本存在するのかしないのか、正しいのか間違っているのか、私にはそれが分からない気がしている。

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