見出し画像

コンビニ青春期 - 05 -

「コンビニバイトは意外とやることが多い」とよく言われるが、実際にやってみると想像以上だった。

レジ打ちだけでも一般的な商品以外に収納代行、切手販売、宅配便、チケット発券など様々な種類があり対応が変わる。
宅配便はサイズごとに金額も変わるためサイズを測り、間違えがないよう対応するのが最初はプレッシャーだった。
さらに品出し、肉まん類の準備、揚げ物を揚げる作業、商品棚の整頓、お客さんからの質問対応などがあるため慣れるまではてんてこ舞いだった。

高校時代レストランのホール兼皿洗いをしていたが、覚える量や種類はコンビニの方が圧倒的に多かった。
ただ意外とそれらを覚えて適切な対応をすることに、小さな喜びや達成感を感じることができるタイプだったので向いていたのだと思う。
この能力に関しては社会に出てからも役に立ってる気がする。

ただ「それ以外のほとんどはあまり役に立っていない」というのはここだけの話だ。

仕事にも徐々に慣れてきた頃から、日曜の日勤と平日の夕勤も入ることになった。
そこで初めて友人と呼べる同期と出会うことになる。

一つ歳下の稲垣君という男の子だ。
僕よりも1週間先に入ったらしいが既に夕勤と夜勤も行っているとのことだった。
自分がようやく夕勤を任せてもらえるようになった時期に、一週間早くから入ったとしてもすでに夕勤を任せられている稲垣くんはとてもスマートに見えた。
夕勤は日勤より来客数が増えるが、スマートな彼と一緒なら安心だろうと思っていた。
だがそれは勘違いだった。

稲垣くんはオーナーにとてもよく怒られていた。
自分が怒られない程度の小さなミスでも怒られている様子を見ると、すでに相当やらかしているんだろうなとすぐに察した。
また先輩たちからも相当いじられていた。
夕勤に僕と稲垣くんのペアでは不安だろうということで、しばらくの間のみサポートに入ってくれる先輩がいたのだが、稲垣くんはひたすらいじられている。
それについては正直ちょっと羨ましかった。(本人はどう思っているか分からないが)

スマートどころかツッコミどころ満載で親しみやすいキャラの彼とすぐに打ち解けることができた。
3回目に顔を合わせてからはもはや友人と言ってもいいほどだ。

社会に出てからこそ顔を合わせなくなってしまったが、人との出会いについては恵まれた環境だったかもしれない。
バイト仲間の存在があったからこそ、過酷なバイトを4年間続けることができたのだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?