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朗読のための古典怪談

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江戸・明治時代の古典怪談を、朗読用に現代語訳して書いたテキストです。どうぞお楽しみ下さい。
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12/6のclubhouse版電気怪談にて朗読した「八王子城亡魂」の音声です。豊臣秀吉に滅ぼされた八王子城の落城にまつわる悲話を、オリジナルのテキストとBGM付で語りました。8分6秒です。どうぞお楽しみください。

12/6のclubhouse版電気怪談にて朗読した「城主の亡霊の」音声です。夜毎、奥方の寝室に通うお殿様の幽霊。一国の主ならではの、その訳とは。江戸時代、1773年の怪談をオリジナルの現代訳文+BGM付で語りました。4分38秒です。どうぞお楽しみください。

江戸時代の雑話集『耳嚢』に入っているお話です。語り用に書き下ろしたオリジナルテキストを、自作BGMに乗せてお届けします。2分38秒です。どうぞお楽しみください。

ろくろ首

ろくろ首

「甲子夜話」巻の八その五より、語り用に現代語訳したテキストです。どうぞ、お楽しみください。↓

先年、能勢伊予守が訪ねてきてこんな話を語ってくれた。
この世に、「ろくろ首」というものが実際にあったと云う。

能勢家の末端の家の主、十次郎の弟に、源蔵と云う男がいた。
性格は豪胆で、拳法を西尾七兵衛という人に学んでいる。
七兵衛は、御番衆で十次郎の親戚である。

源蔵はこの七兵衛の家によく泊まりに行っ

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11/22のclubhouse版電気怪談にて朗読した「鳥居元忠の幽霊」の音声です。江戸時代、1841年の随筆集『甲子夜話』にあるお話です。古文から書き下ろした現代訳オリジナルテキストを、自作BGMに乗せて朗読しています。4分54秒です。どうぞお楽しみください。

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10/18のclubhouse版電気怪談にて朗読した「耳なし芳一」の音声です。小泉八雲の原作から朗読用に書き下ろしたオリジナルテキストを、自作BGMに乗せてお届けします。12分16秒です。どうぞお楽しみください。

のっぺらぼうの頭の上の口

のっぺらぼうの頭の上の口

『奇異雑談集(きいぞうたんしゅう)』 
(原題:人の表に目鼻なくして、口頂の上にありて、ものをくふ事)

私は若いころ、丹後の国の府中に住んでいたことがある。
丹後国は、京の都からは遥か北にある。
ある時、摂津の国の僧侶が私の家に来た。
この僧は九世戸(くせのと)参詣のために丹後に来たが、私の家に数日間逗留した。
これは、その時に語ってくれた話である。

「同郷に一人の僧がいる。
日本の六十六カ国

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龍、石の中に潜む事

龍、石の中に潜む事

『耳嚢』根岸鎮衛 文化十一年(1814)
からの現代語訳です。
声に出して読む語りテキストとして
書きました。
どうぞお楽しみください。

原題「石中蟄龍の事」

近江の国に
石亭(せきてい)という人が居る
裕福な農家の主で
本名は木内重暁(きのうちしげさと)
という
この人は名石
すなわち由緒ある石や美しい石を好み
これらを沢山集めていた

石亭は「雲根志」(うんこんし)
という本を書いている

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9/14のclubhouse配信にて朗読した神奈川県の伝説です。精進が池にまつわる龍伝説を「龍を殺す」と題して、オリジナルでテキストを書き下ろして朗読しました。8分25秒です。どうぞお楽しみください。

石子詰

石子詰

(角川日本の伝説47鳥取の伝説より)

天正八年 すなわち1580年六月のこと
羽柴秀吉は織田信長の命を受けて
西に軍勢を動かした
そして吉川経家が守る鳥取城を囲んだ
秀吉は兵糧を絶ち
昼夜問わず鉄砲を打ち込んだ
城内の人々は極限に追い込まれた
飢餓に苦しむ人々は 
敵方に助けを求めた
だが悉く味方の鉄砲で撃ち殺された
その屍の肉が奪い合いになったという

このような地獄が四か月続いた
ついに城は

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耳切れ団都

耳切れ団都

(原題「小宰相の局、幽霊のこと」)
『宿直草』延宝五年(1677)

これは
我が家に出入りしている座頭が
語ってくれたものである
この座頭は目が見えぬが琵琶の
弾き語りを生業としているのである

(座頭の語り)

私の師匠は
摂州尼ヶ崎の人で
星山勾当といいます
私はこの方から
平曲つまり平家物語を伝授されました

平曲の中でも
要とされる第九巻に
『小宰相の局』という件りがあります
小宰相の局

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食人鬼

食人鬼

今はむかし
夢窓国師という僧が
旅の途中美濃の国を通った
夕暮時その日の宿を探し歩いていると
丘の上に小さなあばら家を見つけた
それは
今にも崩れそうな庵であった

中にいたのは
一人の年老いた老僧であった
夢窓は一夜の宿を乞うたが
老僧は断った
かわりに隣の谷にある村を教えた

夢窓が行ってみると
それは十軒ほどの小さな村だった
村長の家に迎えられ
食事と寝床が用意された
夢窓は旅の疲れから

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安達ヶ原

安達ヶ原

いまは昔
奈良時代に入って間もない頃の話
陸奥国安達ヶ原をゆく一人の僧がいた
名を祐慶と言った
祐慶は修行のために紀州の熊野を出て諸国を巡っていた
このあたりは物寂しい野原である
すでに日は沈んでいる
宿を求めてあてどもなく歩いていると
大きな岩の穴を住まいとしている岩屋が目に入った
ほかに人が住んでいる家らしきものは見あたらない
あそこにしようと思い木の枝に覆われた入り口に近づき声をかけた
なか

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耳なし芳一

耳なし芳一

(小泉八雲『怪談』)

昔 むかし 
今から一千年ほど前
下関がかつて赤間ヶ関と
よばれていたころ

都を追われた平家一門は
ここ赤間ヶ関壇ノ浦に於て
源氏との最後の戦いに挑みました
敗れた平家の人々は
ことごとく海の底に沈みました
女子共に至るまで
みずから身を投げたと言います

これからお話しするのは
それから数百年後にあった話です
この赤間ヶ関に
阿弥陀寺というお寺がありました 
そこに一人

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