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デザインは、現実化の作業とも言える。

ネット経由、全く存じ上げない方からのデザインの依頼。
お互い顔も知らないのだから、好みもその人の雰囲気も、文面から明確に察することはできない。幸い、今回の方はわたしが星詠みをやっているということを踏まえて、ご自分の生年月日を教えてくださった。(月星座までも)


太陽は水瓶座、月星座はさそり座。
アール・ヌーヴォー風のデザイン、秘伝のレシピ風、妖艶な雰囲気をご所望とのこと。なるほど。
これに色の好みと、いいなと思うデザインの画像を提示していただき、制作に取り掛かった。


材料はいつもこのように、たいていが曖昧なものである。
はっきりと分からないぼんやりとしたもの。
その人が持つ、うまく言葉にできない理想やイメージ。
これを可視化するのがわたしの仕事、つまりはデザインだ。


このプロセスは一種の現実化であり、具現化のようなものだな、とも思う。
ぼんやりとした目に見えないものにカタチを持たせ、この現実世界に生み落とす。これは、思考の現実化に等しいと言えるのではないだろうか。


当然のことながら、相手が望んでいるイメージが具体的であればあるほど、制作はラクになる。または、こちらがそれを明確に理解できていても同じ。
今回はアール・ヌーヴォーというイメージがリクエストにあったことが、ある意味救いとなった。そして自分がアール・ヌーヴォーを理解していることも、助けであった。


デザイナーはやはり、美術に精通しているに越したことはない。
精通とまではいかなくとも、時代による芸術の潮流やそのスタイルと特徴、代表となる芸術家や画家くらいは頭に入れておいた方がいい。
アール・ヌーヴォーであれば、ミュシャだ。


わたしはやっぱり美術が好きだし、うつくしいものが大好きだ。
この世界でどれだけ自分が美しいものを見つけられるか、感じ取ることができるか、自分なりの美的感覚を持てるか。そのための機会を作れるか。
おそらくは無意識レベルで、そういうことを大切にしているのかもしれないな。



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