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レベルと経験値は、同じ遊びを何回行うかで設計する

こんにちは。「仕様です。」(@shiyoumasayume)という名前でSNSをやっているゲームプランナーです。

ふだんはコンシューマータイトルプロジェクトでディレクターやプロデューサーが旗を振ったイメージを具体的にゲームデザインするという仕事をやっています。

RPG系のゲームによくある要素として、「レベル」だとか「経験値」というものがあります。

レベル5とか、レベル100とか。次のレベルまで経験値はあといくつ、といった具合にゲームを遊ぶ中でよく見かけるといった方も多いのではないでしょうか。

レベルの概念があるゲームを遊ぶとき、プレイヤーは行動の判断基準としてこのレベルの値を参考にします。

たとえば、強くなってきたから先へ進もうとか、あそこの敵は強くて勝てないから別の場所へ今は向かおうなど。

これはつまり、ゲーム開発者はレベルの概念を使ってプレイヤーの行動を誘導しているとも言えるわけです。

今日はこのレベルや経験値といったパラメータを設計する際の思考について書いてみようと思います。

創作論やノウハウは人の数ほどありますので、業界の片隅にいるいちゲームプランナーの手法として読んでもらえれば幸いです。

レベルの役割って

レベルや経験値というものには、ゲーム的なプレイヤーの成長を可視化したものだったり、ゲームの進行度をプレイヤーに教える役割があります。

■未踏の地で強すぎる敵と出会った
・手も足も出ないので、一度撤退してレベル上げをしてこよう
・レベルを上げて再挑戦すると、見事撃破することができた

自分よりも強い敵と出会ったときのプレイヤーの行動は、おおむねこんなところではないでしょうか。

(強い敵を避けて進むという遊びもありますが、今回の主題ではない方面の話になるので今回は置いておきます)

このように、レベルの概念はプレイヤーの行動を誘導する要素にもなったり、また目に見える形で成長や達成感を蓄積していくという役割があります。

レベルはゲーム進行を区切るもの

プレイヤーの行動を誘導するというところから、レベルというのはゲーム進行を区切るための要素であるとも言えます。

ここからここまでのレベルの間はこの地域を冒険させて、こっちの地域はこのレベルの範囲で、というようにゲーム開発者は設計をしていくわけです。

レベルの最大値は10でも100でも何でも良いのですが、レベルの数値=設けられる区切りの最大数ですので、ゲーム内で区切りたい要素の数よりも多い数にした方が設計上の都合は良いでしょう。

勝手にポケモンを例にしますと、

■レベル最大値:100
■メインコンテンツ:8種類のジム攻略+リーグ制覇

ジムからリーグ制覇までの進行を区切るわけなので、100という数値を9つで分割して各ジムやリーグの適正レベル範囲を導くことができます。

また分割後も数値の幅に余裕があるため、1つのジムやリーグの中でも幅を持たせることができ、ジムトレーナーとジムリーダー / 四天王とチャンピオンという関係性の中で強さのバリエーションを出すこともできます。

このように、レベルを取り扱うゲームではまず大枠としての数値を用意し、それをゲームのメインコンテンツで分割していくとバランスの調整がしやすいのではないかなと思います。

経験値の設計の仕方

レベル=ゲーム的な区切りを示すものであるということは、そのレベル帯では体験に大きく変化が生まれない(にくい)ということです。

プレイを続けてもちっとも変化が起きないという状況が続くと、当然ながらプレイヤーは飽きてしまいますよね。

そのためゲーム開発者は、プレイヤーが適切に遊んでいれば自然とレベルが上がっていくように設計をしていく必要があります。

そこで重要になってくるのが経験値のたまり方というわけです。

こういったパラメーターワークというのはかなり職人芸的なところがあるのですが、再現性のありそうな考えをもつとすれば「遊びを何回繰り返させるか」だと僕は思っています。

またまたポケモンを例にしてみますね。たとえば、レベル10~15の範囲で遊ぶ想定の地域があるとします。

その地域でポケモンバトルを何回取り組ませたいか、が経験値の獲得量のポイントです。

■新しいポケモンの顔見せも兼ねて、7人くらいのトレーナーと戦わせたい。
■草むらで野良ポケモンと5回くらい戦わせたい。

このようにゲーム側の要望として何回バトルの遊びを繰り返したいか、という要件を洗い出します。

それらの遊びを全て終えた時にレベルが5つ上昇するように考えれば、1体のポケモンから得られる経験値の基本となる数値を割り出すことができそうです。

ここで挙げた遊びを全て終える前に想定範囲を大きく超えてレベルアップできてしまうなら、1体のポケモンから得られる経験値が多すぎます。

遊びを終えた後も草むらでひたすら戦い続けないといけないなら、1体のポケモンから得られる経験値が少なすぎます。

このように何回遊びを繰り返させるか、というところを基準に経験値を割り出していくという具合です。

レベルはゲーム進行の区切りであり、経験値の蓄積はそのレベル帯での遊びの数を踏まえた区切りでもあると言えるのではないでしょうか。

というわけで

今回はゲームにおけるレベルや経験値の役割ですとか、設計の基準について書いてみました。何か参考になれるようなところがありましたら嬉しいです。

なおポケモンはあくまで勝手に例として使わせてもらっただけなので、実際にポケモンを開発されている方々はまた違ったやり方や思考をされているかもしれません…。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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