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敏感と鈍感

 みんなそれぞれ違った環境の中で生まれ育ち生き抜いてきた。
 その中で経験してきたこともやはり違うだろう。
 そしてこれからもみんなそれぞれで違った経験を踏まえながら生きていく。
 どの経験も初めての時がある。
 初めての経験をした時には誰もが敏感になる。
 慎重に事を進めるが、時には戸惑い、悩み、挫折をする場合もあるだろう。
 しかし、それが自分に課された重要な任務であるならば、達成後には大きな喜びとなる。
 そしてそういった経験を何度も繰り返すうちに慣れていく。
緊張もせず、慌てもしない。頭の中で以前の経験を思い返して初めての時よりもスムーズに整理ができる。また、初めての経験であっても、他の経験を何度も繰り返した場数があれば、以前の経験から共通点を探して当てはめることもできる。流れや注意する部分、心の持ち方等……
 あんなに怖かった最初の経験は何だったのかと思うくらい感情に揺さぶられることなく任務を遂行できる。
 経験を積むことで刺激的な感情をあまり抱かなくなる。
 そう、経験が豊かになるに連れて私たちは鈍感になっていく。
 「どうしよう」「困った」から始まる初めての経験では、恐る恐る慎重に考えながら事を進めていく。時には間違えを誰かに指摘され、時には後悔しながら軌道修正する。
 その時の努力や苦労・費やした時間等が前提にあるため達成や成功した時に味わう喜びや安心感のようなプラスの感情も薄れてしまうだろう。
 だが、そういった経験が浅い時に味わう気持ちを犠牲にすることで得られる、安定感は人間社会には不可欠なものだろう。
 特に、他人から命を預かる重要な任務を受け持つ人の場合は、他人からしてみたら経験豊かな人に依頼をしたいと思うだろうし、逆に経験が浅い人に自身の体を預けることだけで不安が大きくなるだろう。大きな手術を受け持つ医者、荒天時に搭乗した飛行機を操縦するパイロット……お任せするなら経験が豊かな方がいい。
 うーむ……
 つまりは新鮮な雰囲気や感動を味わうために、今までにない新たな経験を探して次々とチャレンジしていくも良し、日々の安心を継続させるために慣れた生活に腰を据えるのも良しだな。

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