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天上のバレエ・地上のダンス(54)人生の保証

毎週木曜日は趣味のダンスのお話です。高校でモダンダンス部に入部するが、やる気なし。文化祭で舞台に立っても、やっぱりバレエ習いたい……なのでダンスのエピソードが乏しい時代でした。



将来はどうする?

高校生のころ、芸能人の三浦友和さんと山口百恵さんが結婚しました。
結婚したら妻は家庭に入る時代。
大スターの百恵ちゃんでも、結婚後は引退するのでした。


友だちも当たり前のように……みな家庭に入る……と、くちぐちに。
なかには、結婚後も働きたい子もいましたね。共働きの親を尊敬しているから、ああなりたいと。


誰も経済的ウンヌンで働きたくはない。
「そのためには【いい人】を見つけなきゃ~」
……なんて平和な時代でした。




オイシイ結婚

「夢見る夢子」キャラのジュン子は、いつもいつも、わが父を自慢していました。
結婚するんやったら公務員がオイシイよ


当時「オイシイ」って表現を、よく使ってました。
公務員を食べるわけではなく「お得」「都合いい」のような意味合いでした。
うま味がある」みたいな。

当時、ジュン子の父は、国鉄こくてつマン
いまのJRグループです。民営化するまえ、通称:国鉄でした。
日本国有鉄道=公務員だったのです。
ジュン子の父は電車の運転手さん。休みもボーナスもいっぱいのようで公務員の恩恵を受けて育ったのでしょう。わたしと違って可愛い子でした。

「公務員オイシイ教」
ジュン子の自慢話と布教。わたしや友だち一派は聞き入っていた。


わたしの父は、しがない金属加工の町工場・自営業。朝から晩まで長時間労働。ボーナスも有給も手当てもない。


下請けなので「親会社から、なんとしても仕事もらわんと生きていけん。そのためには、ゼッタイ不良品を出したらアカンのや」
うちは、オイシくない自営業。

いま思えば、
社会の仕事にリハーサルはない。全てぶっつけ本番。
そのために鍛練する。どんな要求にも完璧に、こたえられるように。

 
オイシイかどうかは自分次第。



人生の保証

わたしが高校のころ、1980年あたり。
親が公務員の子は、割合としてはけっこう多かったのですよ。
 ・大阪市交通局(地下鉄・市バス)
 ・電電公社(日本電信電話公社)
 ・郵便局…… 

ジュン子は、ピアノとか習ってて、うらやましかった。わたしの親も公務員だったらバレエを習えたかも。遠い世界だった。
公務員と結婚したらオイシイのか……。なんとなく覚えとこう。

あのころ公務員と結婚するなんて言う子はいなかった。よくあることか、ふつうだったのかもしれない。


後年、国鉄は分割・民営化してしまう。
電車の運転手だった自慢のお父さんは、系列の駅直結・ホテル勤務になった……。
寂しそうに語るジュン子。


人生に保証はない。
銀行も統廃合した。
親世代が人生の大どんでん返しを食らった、あのころ。


そして、わたしたちも。


バブル時代。ジュン子は妻子ある人と泥沼になった。



ジュン子も泡のように……消えた。
その後、どうなったのか誰も知らない。


踊り、踊らされた。
ダンスしてもしなくても。


公務員が減ったにしろ、
オイシイ結婚したのは、たったひとりだけだった。


毎週金曜日は
「バレエ・ダンス」の日

いつも こころに うるおいを 水分補給も わすれずに 


さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。

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