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わたしが見た「怪物」

映画『怪物』を観た。土曜の朝から映画館に行くのなんてどれくらいぶりだろう。坂元裕二さんの脚本はやはり味わい深く、とくに「坂元さんらしさ」を感じてぐっときたのは、湊と依里のやりとりだった。ときめいた。

「怪物」はたくさんいた。ほんの小さな断片で勝手に解釈して突っ走ってしまう人、自分の考えが正しいと思い込み、それを他人や家族に強要する人、「あやまればいい」というところで思考停止する人、子の性的な性質を受け入れられない親など。自分のなかの「怪物」にも気付いてしまった。

そして、誤解を怖れずに言うなら、「あのくらいの年頃の子ども」。子を持たないので、そもそも子どもにある種の怖さを持っているけれど、想像以上だったというか……。あんな無自覚のうそや気持ちの裏返しに、自分は気付ける気がしない。

でも、朽ちていく古い電車の中で湊と依里だけで過ごす時間はすごく清らかで、まぶしかった。

依里の作文が何を伝えていたのか(鏡文字が二人の名前を記しているところまでしかわからなかった)、保利先生が嵐の日にどうして湊の家の前であんなふうに叫んでいたのかがわからなかった。二人の気持ちに気づいたから? 次に観るときはこの部分の答え合わせをしなければ。

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