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エブエブ観て人生を思う

映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』をやっと観た。おもしろかった。ハチャメチャだった。マンガみたいな世界なのにやたらとリアリティを感じたのはなぜだろう。正直、どんな映画だったと説明するのがものすごくめんどくさい作品だと思う。
絶対一発で理解されないし、そもそも自分も全てを理解できてないと思うし。

でも、変なことすると強くなるとか(最高)、指がソーセージになっちゃう次元とか、いろいろばかばかしいんだけれど、石になってしまったジョイとエブリンの対話の哲学っぷりとか、どの次元に行っても戦う相手がその次元なりのキャラで存在するということとか、こんな自分だからあんな人と一緒になるだとか、母と娘の、そして娘と父のいがいがだとか、普遍的なものごとや真理が散りばめられていた気がする。

全然違う次元でも、わりとわたしたちの日常ってあんなだよなとも思った。稼ぐこと、国民としての義務を果たすこと(納税)、親子関係をいかにうまく保つか――それが日常。てか、日常はそれでしかない。でもそのなかでめちゃくちゃそれぞれに戦ってる。働くことだってスムーズじゃないことも多いし、納税も大変だし、親子って互いがいくつになってもずっと難しい。でも、へんなことしてパワーアップしたりしながら戦って、戦って、また戦って、お互いに押したり押されたりしながら、良いこともあって悪いこともありながら、いつか石みたいな境地にたどり着くのかもしれない。

最後が石になるなら(実際、墓石になるようなものだし)、どれだけ戦うかって大事かもしれない。それまでの激しさがあってこそ石になりがいがある、というか。生きるのはつくづく戦いだなと思う。

それにしても、ミシェル・ヨーは疲れた主婦役でも美しくてかっこいいし(カンフーのシーン!)、キー・ホイ・クァンのあの情けないほどやさしいダメ風な夫役(そんなにダメでもないんだけど)が最高に好きだった。

エブエブの感動をどうやって文字にできるだろうとうねうね考えて眠って目覚めた今朝、教授逝去の報せを聞く。諸行は無常。


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