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プロバスケットチーム代表からプロラグビーチームの立ち上げへ | 静岡ブルーレヴズ株式会社 山谷拓志社長インタビュー

静岡を中心に活躍するプロラグビーチーム「静岡ブルーレヴズ」は、2021年の新リーグ発足を機に、静岡から世界を魅了するために動き出しました。

代表の山谷社長は、どのような経緯で代表に就任したのでしょうか。また、どのような姿勢で仕事に取り組んでいるのでしょうか。

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第一声は「無理です」

今でこそ静岡ブルーレヴズのため、ラグビー業界のため、静岡のためにできることばかり考えている僕ですが、最初にチームの運営をお願いされた際は、じつはお断りさせていただきました

「お気持ちは嬉しいのですが、僕にはできません」と。

あれは2020年の10月頃ですね。

静岡ブルーレヴズの前身であるヤマハ発動機ジュビロの堀川ヘッドコーチから「相談したいことがある」とご連絡をいただきました。17年ほど前にチームの研修プログラムに関わらせてもらっていたことがあって、堀川さんとはその時に接点がありました。

僕は当時、プロバスケットチーム「茨城ロボッツ」の代表だったので、運営やマネジメントのことを相談されるのかなと思っていました。それがまさか、プロラグビーチームの立ち上げをお願いされるなんて……。

いやいや、無理ですよ

そもそも当時、国内でラグビーのプロ化、事業化の前例がありませんでした。今でこそJAPAN RUGBY LEAGUE ONEというリーグがありますが、それだってまだない時代です。チームの抱える選手の人数も野球やサッカーより多く、そのぶん多くの収益を上げなければいけないという経営面の難しさもありました。

なにより、僕はバスケットチームの代表という立場でしたから。ロボッツはBリーグ1部リーグ昇格すらも果たせていませんでしたし、そんな状態ではまだ次の仕事に移るのは早いと思っていました。

なので、一度はお断りさせてもらったんです。

しかし、その後再びヤマハ発動機ジュビロから「ぜひお願いしたいです」と。話を聞けば聞くほど真剣さが伝わってきて、熱意に心を動かされる形で社長就任を考えるようになりました

幸いにもロボッツには優秀な後継者が見つかり、後を託すことができました。こうして、14年間お世話になったバスケ界を卒業、2021年6月、静岡の地へ赴きました。

余談ですが、茨城ロボッツは僕がブルーレヴズへ移動する直前にBリーグ1部リーグ昇格が決まり、退任に花を添えてもらいました。

心を動かしたのは「誰もやったことがないこと」

やはり、心動かされた理由の一つは「誰もやったことがないこと」という部分です。

お誘いをいただいた時点では、ラグビーにはプロリーグも、プロチームもなかった。まったく前例がないわけです。つまり、ゼロからイチを生み出すような、非常にチャレンジングな試みでした。

ただ一方で、「自分ならできるかもしれない」と思ったのも事実。なぜなら、過去に関わった二つのバスケットチームは、まさにゼロからのスタートだったからです。

栃木のプロバスケットチーム「栃木ブレックス(現:宇都宮ブレックス)」はチーム立ち上げからの関わりですし、「茨城ロボッツ」に関しては経営が立ち行かない状態から再建しました。

どちらも最初は試合で勝てなかったし、集客も安定しませんでした。それでも、なんとか形にしてきたという自負があります。

くわえて、過去2チームでの経験を経て、自分の中でスポーツを土着化していくフォーマットが出来上がっているように感じていました。だから、「この経験を活かせれば、きっとできるのでは」と思ったんです。

また、30代では栃木ブレックス、40代では茨城ロボッツに関わり、50歳を迎えた今、もう一度大きなチャレンジをしたいと思う部分もありました。それも、自分ですら一度は「無理だ」と否定したラグビーのプロ化を、あらためて直視することは非常に意味があると感じていました。

コミュニケーションは「血流」である

僕が組織において一番大切だと思うものはコミュニケーションです。コミュニケーションは、組織においての「血流」だと考えています。

体の中で血流が滞ると、節々が悪くなったり、場合によっては壊死してしまいますよね。それと同じで、組織内でコミュニケーションが滞ると、組織が機能しなくなってしまうんです

組織内のコミュニケーションは、仕事を頼んだり、進捗を確認したりするだけに止まりません。「何のために働いているんだろう?」「我々は何を目標としているのだろう?」といった、仕事そのものへの理解を促す効果もあると、僕は考えます。

だから、このオフィスです。

ご覧いただけるとわかるように、空間を隔てる壁がありません。会議スペースも開かれていて、こうして僕が受けているインタビューもみんなに聞こえています。

オフィスの様子

自然発生的なコミュニケーションが増えてほしい」という意味も込めて、開かれたオフィスにしました。

一階をレストランにしたのも、交流を促進する目的があります。お昼ご飯を食べたり、仕事終わりの一杯を楽しんだりする中で、社員同士の会話を促す狙いがあります。

また、このレストランに選手が遊びに来てれたりして、社員と選手、さらには地域の方々が気軽に触れ合える場所になればいいなと願っています。

メールやチャットのようなテキストベースのコミュニケーションツールが増えてきた昨今ですが、やっぱり、対面でのコミュニケーションも大切ですね。コロナが明けて、なおさら感じます。

僕なんかは外に出ることが多いんで、どうしてもテキストやオンラインを通じた会話になりがちなのですが、返信を早くするとか、こまめな確認をするといった、血流をよくする対応を心がけています。

「おもしろくする」のはいつも自分

僕は以前、リクルートに勤めつつ、アメリカンフットボールの社会人チームに所属していました。現役時代は月曜日から金曜日までは仕事、週末は練習という、休みのない日々を過ごしていましたね。

だからと言ってどちらも手を抜かず、仕事もスポーツも全力でした。100の中で力を割り振るのではなく、全部100を出す。毎日が全力。

そのことを人に話すと、「休まる時間がなくて大変じゃなかったですか?」と聞かれることもありますが、僕の場合は「大変」という感覚より、「おもしろい」という感覚が勝っていましたね。おもしろいことなら全力で、本気で取り組めるじゃないですか。

何事も、おもしろくするのは自分自身ですよ。

もちろん、世の中は自分にとって都合のいいことばかりではありません。仕事でお客さまからクレームをいただくこともあるし、スポーツで大きな怪我をしてしまうこともあります。

でも、そういった状況にも、「おもしろい」を見出してしまえばいいんです。

たとえば、怒っているお客さまからいかに大逆転で好かれようかを考えてみたり、下半身を怪我してしまったらベンチプレスで上半身を鍛えてみたり。

そういうふうに、一般的には辛い、悲しい、面倒臭いと思われる局面でも、自分で目標を定め、行動してみると、おもしろいと思える瞬間が生まれるんです。少なくとも、僕はそう信じています。

ジョークみたいに聞こえるかもしれませんが、僕はそういう働き方をしていたのでストレスが溜まったことがありません。まあ、気の持ちようですよね(笑)

選択は後から正解になっていく

同じような考え方、捉え方で変わるものが他にもあります。それは「選択の結果」です。

人生の中で選択をしなければいけない場面は無数にありますよね。

選ぶ段階で迷うのも大事だし、自分で決断することも、もちろん大事です。ただ、「決断後をどのように過ごすか?」のほうがよっぽど大事だと、僕は考えています。

たとえば、人生における重要な選択の一つが「仕事選び」。

仕事を変えるのは時間や労力、金銭的なコストがかかりますので、できることなら同じ仕事を長く続けたいですよね。それも、できることなら自分の望んだ環境で。

でも、実際にその仕事に就いて、働いてみないとわからないこともたくさんあります。

もしかしたら、「想像していた仕事と違った」とか「新しいことにチャレンジさせてもらえない」といった、理想と現実のギャップにぶつかることもあるかもしれません。そういった時、ただただ悩んだり後悔しても、決断してしまったことは変わりません。

だったら、現状の中でチャンスを探してみたり、成果を出す方法を考えてみたりするほうが建設的だと思いませんか? そのように発想の切り替え、ポジティブに物事を捉えることで、選択は後から正解になっていくのだと僕は思います。

僕自身、自分からやりたいと思って携わったプロジェクトばかりではありませんし、中には断りきれずに受けてしまった仕事もありますが、それに対して後悔したことはないです。一つも。

なぜかっていうと、その選択を自分で後悔しないように、自分で仕向けてきたからなんですね。まあ、辛かったことを覚えていないだけかもしれませんが(笑)

100%の正解なんてないし、すべての選択は、決断の段階では正解も不正解もフィフティ・フィフティ——わらかないということ。

そんな100%の正解がない中で、「自分で選択したことを正解にしよう!」と思えるように発想を変えていければ、どんな仕事に就いても絶対ハッピーになれると、僕は確信しています。

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