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【医師のイギリス公衆衛生大学院留学】出願に必要な書類の話

 アメリカ・イギリスの公衆衛生大学院(MPHまたはMSc)への出願に際して必要な書類は以下の通りです。アメリカはSOPHASというシステムに登録してそこから各大学にまとめて出願する方式(一部大学で例外あり)ですが、イギリスは各大学のオンライン出願サイトから個別で登録する必要があります。私は日常業務が忙しく余裕がなかったので、一連の出願プロセスに関して大学院留学コンサルティングにサポートしていただきました。


各種証明書

・英文成績証明書
・英文卒業証明書
 出身大学に発行を依頼する必要があります。英文だと少し時間がかかることあるので余裕を持って依頼が必要ですが、大学によって出願何ヶ月以内発行のものなどの指定がある場合もあります。イギリスはPDF化して出願ポータルに登録すれば良いだけなのですが、アメリカのほとんどの大学はWES(World Education Services)という信用評価機関に上記の証明書を評価してもらった上で、大学に提出してもらう必要があります。WESを介する場合はさらに時間と費用がかかるので、早めの準備が必要です。

Personal Statement(志望動機書)

 おそらく出願書類の中で最も重要なものです。各大学の募集要項にどんなことを記載すべきかが書かれているのでしっかり読み込んだ上で、何か特定の質問事項がある場合はそれに対して適切に回答すべきだと思います。やはりその大学のそのコースに出願する理由、その大学でないといけない理由をちゃんと説明できる必要があり、推薦書の内容と合わせて大学側が求める学生像としっかりマッチしないと合格は厳しいと思います。私が合格した大学に提出した書類は本記事末で有料公開します。

CV(英文履歴書)

 英語の履歴書のことをCV(curriculum vitae)と言います。日本で作成する履歴書とはスタイルも記載内容も全然違いますが、ネット上に書き方に関する情報はたくさん落ちています。自身のCVは常に更新するようにしていましたが、大学院受験のために必要なCVの内容や文量が皆目検討がつかず、私は大学院留学コンサルティングに依頼して添削してもらいました。もちろん記載する内容の詳細含めて自身で下書きを作成した上で、添削と情報の取捨選択を行なっていただくような感じです。実際出来上がったものは、学歴・職歴・受賞歴・出版歴・資格に関する情報が端的にA4 1枚にまとめられています。私が実際に作成したものから個人情報を抜いてテンプレート化したものを有料で公開します。
 ちなみにここで作成したCVは大学院受験だけでなく色んなところで使いまわしています。たとえば大学院合格後の学内給付型奨学金の申請、海外で行われるセミナーへの参加申し込み、留学先の興味のある研究室の教授への初回メールに貼り付けたりしました。

推薦状

 通常イギリスだと2通、アメリカだと3通必要です。募集要項にどんな人から推薦状をもらうべきかが明記されているので、それに即して依頼します。私は以下の3名に依頼しました。

①直属の上司:病院勤務の医師で、アメリカでの長期にわたる臨床留学の経験がおありの方でした。普段の診療において毎日顔を合わせて指導いただいていた先生でしたので迷わずお願いしました。私が関わっている臨床研究の指導者でもあります。
②共同研究者:勤務先の病院の臨床研究部門の部門長の先生で、当時私が関わっている臨床研究の研究デザインからご指導いただいていました。高インパクトファクターの論文をたくさん執筆されており、アメリカでの研究留学経験がおありです。
③出身大学の小児科教授:学部時代から非常にお世話になっていた教授で、所属していた部活動のOBの先生でもあり私の学生時代のことをよくご存知の方でした。社会人になってから一緒に働いたことはありません。アメリカでの研究留学経験がおありです。

 推薦状はそれぞれの先生方にご意向を確認の上で、あらかじめ自身で下書きを作成した上で、修正していただく方法を取りました。①の先生からは、いかにも欧米の推薦状っぽい洗練されたスタイルに生まれ変わったものが返却されました。②③の先生方は下書きの内容をそのまま承認いただきました。
 
 推薦状は大学によって、受験者本人がアップロードする場合と推薦者がアップロードする場合があります。当然ながら後者がほとんどで、この場合推薦者の先生方に受験用ポータルサイトに書類をアップロードしてもらう負担が発生します。イギリスは2通で良いので、①②の先生からの分を提出しました。また別記事で奨学金に関することを記録しようと思いますが、各種奨学金への申請の際もこの時点で上記の先生方に書いていただいた推薦状をそのまま使いました。

TOEFLまたはIELTSのスコア

 受験基準を満たしているスコア結果をアップロードする必要があります。大学によってはテスト主催団体から直接大学に結果を送ってもらう必要があり、数週間程度の時間がかかることがあります。英語試験の選択に関してはこちらの記事をご参照ください。

GREのスコア

 北米の大学ではGRE(Graduate Record Examination)のスコアが必要な場合があります。これは英語ネイティブが大学院受験のために受ける共通試験で、純日本人が高スコアを獲得するのは非常に大変です。幸いなことにコロナ禍以降、GREスコアの提出が必須でないとする大学が増え、最近では提出不要なところがほとんどになってきている印象です。私の受験当時は「提出は必須ではない」との書き方のところが多く、すなわちあった方が良いのかと思い、とりあえずあまり対策もせずに受けました。
 GREはVerbal(ネイティブのための国語)、Quantitative Reasoning(数1A程度のレベルの数学)、Analytical Writing(アカデミックライティング)の試験で構成され、それぞれ絶対スコアと受験者の中での順位がパーセンタイルが返却されます。私はVerbal 10%tile、Quantitative 85%tile、Writing 13%tileという目も当てられない酷い点数でした。アメリカ2校に出願する際にGREスコアも添付しましたが、良い内容ではなかったのであえて提出しない戦略もありだったような気がします。

その他

 場合によって、パスポートのコピーや英文財政証明書の提出が求められます。

海外大学院受験におけるエージェントの利用について

 少し脱線しますが、私は一連の出願プロセスに関して大学院留学コンサルティングにサポートしていただきました。同様の支援をしてくれるエージェントは数多あると思いますが、このようなサービスを利用して私はとても良かったと思っています。私が依頼した大学院留学コンサルティングの「総合コンサルティングプラン」にお願いすると、

・専属のコンサルタントによるステップ毎のカウンセリング(月1回程度)
・カウンセリング結果を元にした出願候補大学のリストアップ
・各校の出願条件のリサーチとリストアップ
・実際に出願する大学に合わせた戦略的で効率の良いスケジュールの作成
・出願校それぞれに合わせたPersonal Statementの添削
・CVの添削
・推薦状の添削(場合によっては代筆も)
・出願手続きの細々としたことに関するサポート
・合格後の進学先選定に関する助言などのサポート
・渡航準備のサポート
・給付型奨学金に関する情報提供(一般公開されています

 上記のような非常に濃厚なサポートが得られました。私の場合はこちらの記事でも記載している通り、合格後の権利をdeferできるところを中心に受験したかったので、deferの可否とその条件などに関する情報も漏れなく集めていただきました。私が実際に進学することになったImperial College Londonは、専属コンサルタントの小山さんが提案してくださり初めて知ったところでした。当初MPHのみの受験を考えていましたが、小山さんに色々と情報提供をしてもらう中でMScも検討することにして一気に選択肢が拡がりました。SOPHASへの登録やGREの必要有無などは公衆衛生大学院特有の課題だと思いますが、一連の出願プロセスに関して何を聞いても熟知されており、即答できないことは持ち帰って追加調査の上でお返事をくださったりと、本当にプロフェッショナルの仕事で心強かったです。
 費用は総合コンサルティングプランが45万円+税と決して安価ではありません。しかし受験準備から渡航までの18ヶ月間をサポート期間としており、月々2-3万円くらいと考えると価格に見合うサポートをしてくださったと思います。大学毎の募集要項や、そのリストアップを自分でしているとどんどん時間が流れていきますし、どうしても自分だけでは見つけられない情報もあります。時間の無い社会人にとっては、時間をお金で買う、あまった時間で英語試験の勉強など他の準備時間に充てることができました。

おわりに

 日本の大学院受験とは異なり、欧米の公衆衛生大学院(Masterコース)の受験はすべて遠隔で完了することができます。ただし必要な書類は多く、準備に時間がかかるものも多いので出願可能性のある大学に関するリサーチをしっかりと行なって計画的に準備を進める必要があります。冒頭で述べたように、私は一連の出願プロセスに関して大学院留学コンサルティングにサポートしていただきましたが、結果として価格に見合うものを提供してもらい大幅な時間の節約になりました。

 以下に私が実際に受験の際に提出したPersonal Statement(合格した3校分)とCV(個人情報を抜いてテンプレート化したもの)を公開いたします。

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