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【医師のイギリス公衆衛生大学院留学】Term2の記録①

Imperial College Londonの公衆衛生大学院(SPH)でMSc Epidemiogyというコースに在籍しています。
ロンドンの冬は日照時間が短く、天気も毎日どんよりしていましたが、3月中旬くらいから春めいてきて街中いたるところに桜やマグノリア(木蓮)が咲き乱れ、とても気持ちの良い季節になってきました。

1年間3学期制の短いコースですが、早くもTerm2が終わりました。
Easter Break前後の春休み期間は大学によって過ごし方は大きく違うようで、たとえばThe London School of Hygiene and Tropical Medicine (LSHTM)のMPH課程にいる友人は、学期内に全てのアセスメントが終わり長期休暇はしっかり全部休みだったりするようです。私の学校は1学期終了後のクリスマス〜年末年始と同じく、長期休暇は大量の課題と試験準備にあてるための期間という感覚です。休暇に入った後に課題が順番にリリースされ、Term3の始まる直前1週間がExam Weekなのであまり心休まらない感じです。そうは言っても休みは1ヶ月近くあるので、クラスメートによってはガッツリ旅行して、勉強できる時にしっかり勉強するという効率的な時間の使い方をしている人もたくさんいます。私は目の前にあること、やるべきことを全部終わらせないと他のことが楽しめない難儀な性格なので、全部の試験が終わりTerm3が始まる直前の数日間でアムステルダムのキューケンホフ公園を目当てに旅行に行こうかなと計画しています。

Term2の授業は全てが選択制で、各生徒が自分の興味に合わせてモジュールを選択することが出来ました。Term1が終わる頃に希望調査が行われて、モジュール間の人数調整などが行われました。そもそもコース全体で34人しかいないので、人数が少ないものだと10人前後で開催されるモジュールなんかもありました。私は感染症疫学と関連分野をしっかり勉強したいと思ってこの大学のこのコースに進んだので、興味のあるものばかりを選択しました。本学SPH内の感染症疫学部門にはコロナ禍よりずっと前の2009年インフルエンザA(H1N1)パンデミックや、2010年台のアフリカ諸国のエボラアウトブレイクなどで活躍した疫学者が大量にいます。そのため選択できるモジュールも感染症疫学関連がたくさんあって、それぞれのモジュールを主導する先生たちはモジュール間で全く被ることなく人的資源の豊富さを感じさせます。結果として先生たちにとっても教育へのエフォートが分散されるのでご自身の研究により集中できる環境なのかなと想像しています。世界を見渡せば同様の規模感の大学はたくさんあるとは思いますが、数年前に進学先を決める際にこの辺りもしっかり確認して納得して選んで良かったなと思っています。

1年間のスケジュール。2学期は黄色くハイライトしたモジュールを選択しました。合計のECT(単位数)が30ECTになるように選択しなければなりませんでした。OutbreakモジュールはFurther Methods in Infectious Disease Modellingを選択していないと選択できないシステムになっています。

Term1から感染症数理モデルの10週間のモジュールが必修であったりと、Epidemiology一般のコースにもかかわらず非常に感染症に偏った大学ではありますが、クラスメートたちは必ずしも皆が感染症に興味があるわけではありません。Term1のIntroduction to Infectious Disease Modellingが、全然イントロダクションじゃなくて難解だったと誰もが感じており、その影響で今後の進路含めて興味も未知数の子達の中にはTerm2以降感染症関連を一切回避するというパターンもたくさんいました。特にTerm2のOutbreakというモジュールは、同じくTerm2前半のFurther Methods in Infectious Disease Modellingを選択していないと選択できないというシステムになっており、一体どれだけ難しい内容なのかと忌避した人がたくさんいるのを知っています(実際のところはOutbreakモジュールは感染症関連のモジュールの中で私にとっては一番実践的で楽しかったです)。このため、本学本コースで感染症以外のところに興味がある人がどのような学生生活をしていたかは、私の感想とは大きく異なる可能性もあります。

Term2全体としては、
・Term1よりは時間にゆとりがある
・クラスメートとの関係性がTerm1で確立してきた頃なのでグループワーク含めて色々とやりやすい
・一方でモジュールが被らなければ全く会わなくなるクラスメートもいる
・モジュール選択の判断基準が、自分の興味で選ぶ人と、単位の取りやすさで選ぶ人で二分される
・どのモジュールも開催人数が比較的小規模なので非常にインタラクティブで、先生たちとの距離感がものすごく近い
・Term3の個人プロジェクトの準備、人によっては就活やPhDへのアプライなどが重なる

という感じで、私個人としてはTerm1よりかは全体的にストレス少なく過ごすことが出来ました。仲良くしてくれるクラスメートも増えて、授業後や週末にご飯に行ったり遊びに行ったりとお誘いをいただくことも多くなりました。

各モジュールの紹介と所感は改めて別の記事にまとめようと思います。冒頭に述べたように今は試験期間中なので、まずはしっかり単位を取れるように勉強したいと思います。

これまで西ロンドンの各所に散在していたSPHの機能が一つの建物に集約して先日ようやくオープンしました。

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