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ITアーキテクトとは何者か(2)

「アーキテクト」に関して様々な定義のある中で、私が「これだ」と強く感じた定義が「進化的アーキテクチャ」の冒頭に記されていましたので紹介します。

アーキテクトの仕事とは「重要なものを全て理解し、釣り合いを取ることだ」

進化的アーキテクチャ

バランスをとって帳尻を合わせる役割」こそアーキテクトだと言うことです。何故、アーキテクチャはバランスを取らないといけないのでしょうか。

それは「全てが考慮された完璧な」アーキテクチャは原則存在しないことによります。CAP定理に代表されるように、全てのアーキテクチャ特性をまかなうことのできるシステム構成はあり得ません。法外な予算があれば実現できる可能性はありますが、一般的には実現不可能ですこの書籍中でも「高パフォーマンスかつ極端なスケーラビリティの実現は困難」とあります。

アーキテクトは多くのアーキテクチャ特性の中から重要なものを選択し、その時点での最適な釣り合いを取ってアーキテクチャを設計します。セキュリティ(重要な情報など)を死守するために、パフォーマンスやユーザビリティを犠牲にするようなケースもよくあることではないでしょうか。アーキテクトにはこのようなトレードオフを考慮することが不可欠です。全てを完璧な状態にすることはできません。

そして「何故、それを選択したか」はアーキテクトの仕事の中でも重要な機能です。この重要な決断を記録として残しておくことが「アカウンタビリティ(説明責任)」になります。

釣り合いを取るためには重要な全てのものを理解していなければ決断することができません。故に「重要なものを全て理解し、釣り合いを取ること」がアーキテクトなのです。

釣り合いについて起きた事例について紹介しますね。生々しいので有料です。

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