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デヴィッド・グレーバー用語集

みんな大好きデイヴィッド・グレーバーの用語集を随時更新しながら作成していきます。

ちなみにですが、デイヴィッド・グレーバーの主要著作年表についてはこちらになります。

  • 想像力

    • マルクス主義的想像力

    • 近代以降のロマンス主義的想像力

    • 古代の想像力(グレーバーが支持する想像力)

  • 対抗力

    • ⑴対抗力とは、まず何よりも「想像力」に根ざしている。それはすべての社会機構は矛盾のもつれであり、常に多かれ少なかれ自ら戦っている、と言う事実に起因している。あるいはより正確に言うと、それは(結局、暴力に基づいていない社会がすべてそうでなければならないように)合意に基づいた社会を維持するために必要な実践的な想像力共通の了解を可能にする対する他者との創造的同一化とその普段の、おそらく必然的な帰結である亡霊的な暴力の間の関係性に根を持っている。

    • ⑵平等主義的な社会における対抗力は社会的地位からの支配的な形式であるとみなし得る。それは社会内部の恐るべき可能性とみられるもの、ことに体系的な政治あるいは経済による支配の形式の出現を、警戒し続けている。

      • 対抗力は、制度的には、われわれが直接民主主義、合意、仲介などの諸制度と呼ぶ形式をとる。それは不可避的な内的抗争を公共的に調停し制御し、かつそれを社会が最も望ましいとみなす----たとえば懇親性、万場一致、豊穣、繁栄、美など----どのようにくくられようと社会的様態(あるいは価値の所形式)に変容する。

    • ⑶ひどく平等的な社会において、創造的対抗力は、ことさら非難に値するとみられる支配の様相に対して己を位置づけ、それらを社会関係から一掃する試みとなることがある。その場合それは革命的となる。

      • 制度的には、それは想像力の泉として、新しい社会形態の創造や古い社会形態の価値再編と変容を司る。

    • ⑷ (かつて革命と呼ばれた意味における)ラディカルな変容時には、これこそがまさに、全く新しい政治、経済、社会的形式を発明するまさにその大衆的権能を可能にする。したがって、これはアントニオ・ネグリが「構成的権力」と呼ぶ、憲法を創造する力の根でもある。

    • 典型的な革命議論において、「対抗力」とは、例えば自己統治的共同体からラディカルな労働組合、大衆武装組織まで、国家と資本主義に対抗する社会制度の集合となる。ある場合には、それはまた「反-権力」とも呼ばれるであろう。こうした制度が国家に対して自らを対峙させている状況は、2重権力状態と呼ばれる。このように定義すると、人類史のほとんどの局面は実際には2重権力状態だったことが明らかになる。というのも、それらの制度を望み通り根絶やしにする方途を獲得していたのは、歴史的国家の中でも実に稀だったのである。(『アナーキスト人類学のための断章』P66)

  • 革命的対抗力

  • 亡霊的暴力

  • 想像の全体性

    • 想像の全体性は、おそらく人間の思考にとって必要不可欠な道具である。むしろそれが単なる思考のための道具であること、これを忘れないことの重要性をグレーバーは主張する。これはグレーバーの構造分析に対するスタンスと似ている。

    • グレーバーは以下のような疑問は投げかけることを勧める。「革命の後で、我々は一体どのように大衆交通機関を組織するのか?」、「誰が科学的探求に資金提供するのか?」、あるいは「革命の後でも、ファッション雑誌はあり得るだろうか?」などなど

  • 革命

    • グレーバーにおける革命とはフランス革命やロシア革命のような「大革命」あるいは「大変動」というような「物事」としての革命ではない。そうではなく、革命とは 権力と支配の特定の形態を拒絶し、それに立ち向かいつつ、社会関係を(その集団の内部から西)再構築する、あらゆる集団的な行為である。革命的な行動は、必ずしも政府を転覆することを目指す必要は無い。

      • 自らを構成し、規約あるいは行動原理を集合的に作り、継続的にそれらを再検討するような自律的な共同体を創造する試みは、全く革命的な行動と定義し得る。

  • 石化(petrification)

    • 社会的領野とは本質的に、一定の価値形式を認知することをめぐる競技場であり、防衛されるべき境界となる。そこでは価値の表象やメディアは、それら自体において心霊的な力となる。そこでは「創造」はいつしか「記念」となっていく。つまり社会の中でのある創造が記念化されていくことを「石化」と呼んでいる。

  • 戦闘的離脱(engaged withdrawal)

    • パオロ・ヴィルノによる、資本主義と自由国家主義に対抗する、直接的な対決を避ける集団移動(エクソダス)の戦略。戦闘的離脱とは、 新たな形式の共同体を創出しようとする目指す者たちによる集団的離脱のことであり、グレーバーのいう「予示的政治」の一つのあり方とも取れる。

  • IWW(Industrial Workers of the World)=ウォブリーズ

    • 1905年にシカゴで結成された急進的な労働団体。〈労働者階級と使用者階級に,共通するものは皆無である〉(IWW規約)を発表。

    • 彼らは「反資本主義者」であるにもかかわらず、自らをそう呼ばず、問題の核心に触れる「反賃労働制」を強調した。 というのも結局、ほとんどの人間がそのことで自分たちの活動時間を無駄にし、自分たちを惨めな存在にしているのは、売り買いではなく、賃労働を演ずることだからだ。

  • 一時的自立圏(temporary autonomous zone = TAZ)

  • 反グローバリゼーション運動

  • ブルシットジョブ

  • シットジョブ

  • 全面的官僚制化

  • 代議制

  • アイデンティティ生産機構

  • スポーク会議(spokescouncils)

    • 何千人もの巨大な単位からなる会議形態。アナーキスト的合意形成過程の一つ。

    • 大きな行動の前に開催される類縁グループ間の大会議。その原則は合意形成によって決定を下す、というものである。大行動など参加グループの数が多すぎる場合、それぞれのグループはスポークを選出する。会場ではそれぞれのグループのメンバーは、スポークの周りにまさに「車輪のスポーク」のように座る。会議では、それぞれのスポークしか発言は許されないが、同時にスポークは自分でそれぞれの類縁グループのために「決定を下さない」。彼の周りに座ったメンバーたちが小声で議論し、その決定をスポークに伝え、スポークに公式発言させる。

  • 車輪のスポーク

    • スポーク会議における類縁グループの中での発言者。発言者であっても発言内容を決める責任者ではなく、また代表者でもない。

  • 類縁グループ(affinity groups)

    • 4人から10人ほどの仲間。その習合性の原理は例えばエコ・フェミニスト・レズビアンであるとか、オハイオ州クリーブランドから来たとか、ウォブリーズの1支部であるとか、友人たちであるとか、なんでもいい。しかしこれが大行動における自己組織化の基本的単位となる。このグループの内部には役割分担が設けられる。誰か1人がスポーツ会議で発言する車輪のスポークになり、ある1人は救急医療の基礎知識を備え、また法的対策の責任者は行動中に決して逮捕されないように心がけ、逮捕されたものについての情報保持し、交流期間は彼彼女の猫の世話をしたり、勤め先に欠勤について言い訳をしたり、、、

      • つまり、類縁グループとは、なんのことはない、「気の置けない友人関係」のこと

  • 予示的政治

  • DAN(Direct Action Network)

  • ホッブズ的論理

  • セクト主義

  • ウォール・ストリート占拠運動

  • マダガスカル

  • 『贈与論』

    • マルセル・モースによって発表された著作であり、 その主要な論旨はあらゆる契約の起源は、条件抜きに他者の必要性に奉仕すると言う意味での共産主義にある。凡百の経済学の教科書が主張することとは裏腹に、物々交換に基づいた経済など存在しない。現存する貨幣に依存しない社会とは、そのような社会であり、そこでは現在我々がこだわっている「利己主義と利他主義」、「人とその所有物」、「自由と義務」等の区別は存在していなかったなどである。

  • 贈与経済

    • 贈与経済は計算に依拠していない。むしろそれを拒絶している。それらは、我々が経済の基本原理とみなしているほとんどを意識的に行動する論理体系に目指している。それらは、いまだに最も有効な方法で利潤を得ることを学んでいなかった。のではない。それらは少なくとも自分の敵ではない誰かに対して最大の利益を引き出す目的で経済的取引をする事は、攻撃的な行いであると言う前提を確立している。

  • 政策

    • 政策と言う観念は、他者に己の意向を強要する国家あるいは統治機構を前提としている。政策は政治の否定である。定義上、政策とは、人々の問題について変えられる彼らよりも精通しているとされる特権階級的存在によってでっち上げられた何かである。我々が政策議論に参加することで得られるのは、せいぜいそれによる損傷を抑えることくらいである。その前提自体が、人々が自らの問題を解決すると言う思想と反目している。

      • そのため、グレーバーは「反政策」の立場をとる。

  • 自律(autonomy)

  • 自由連合(voluntary association)

  • 自己組織化(self-organization)

  • 相互扶助(mutual aid)

  • 直接民主主義(direct democracy)

(戦闘的離脱=一時的自立圏=想像上の解放)

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