見出し画像

サッカーにおける「スピード」の基本的なカテゴライズ

ドイツでサッカーの勉強をするようになって個人的に日本との違いを大きく感じたことの1つとして、サッカーに必要なスピードの能力をどのように捉えているかという点がある。

スポーツ科学の側面からサッカーの競技特性を学術的に見ていった際に、ドイツの方が細分化して定義付けしていたり、書籍などでもより詳細に取り扱われて説明されている。

最近では知覚機能に基づいた認知スピードといった要素等も取り上げられるようになってきているが、これらのスピード系の要素がドイツではどのように捉えられているのか、基本的な枠組みを紹介していきたいと思う。


スピードのカテゴライズ

・Wahrnehmungsschnelligkeit(知覚スピード)

・Antizipationsschnelligkeit(予測スピード)

・Entscheidungsschnelligkeit(判断スピード)

・Reaktionsschnelligkeit(リアクションスピード)

・zyklische und azyklische Bewegungsschnelligkeit ohne Ball(ボールがない状況での循環的・非循環的スピード)

・Aktionsschnelligkeit mit Ball(ボールを持った状況でのアクションスピード)

・Handlungsschnelligkeit(実行スピード)


この大枠の中からさらに細分化されることもある。

例として循環的・非循環的スピードは、加速スピードやスプリントスピードなどに細かく分類される。

書籍や文献によって名称やカテゴライズの多少の違いはあるが、だいたい上記の7点に分けられている場合が多い。
一般的には日本でよく使われる「プレースピード」というような表現は捉え方が広すぎるという感覚なのか、ドイツで使われることは殆どない印象。


これらのスピードの要素に焦点を当ててトレーニングを行う場合、反復法やゲーム形式といった方法がとられる。

反復法では例えば、10~20m程度のスプリントを数本というような単純なトレーニングが行われる。神経系に負荷をかける意味合いが強く、回復までには数分を要するため、休憩時間を長くとって神経系が回復しきってから次のセットを行う必要がある。

学術的観点から言えば確かにそうではあるが、実際にサッカーのトレーニングで20mのスプリントを1本して神経系が完全回復するまで数分休憩... なんてのはやや非現実的でもあるため、個人的には教科書通りに負荷と休憩のバランスをしっかりと守って反復法を行っているというチームはあまり無いかなと思う。特に育成年代のチームは。


サッカーにより特化したトレーニングとするために、スプリントの距離を1本毎に変えたり、方向転換を伴ったスプリントなどの設定の変化が有用といえる。
スピード系のトレーニングは神経系の疲労が無い状態で行われなくてはならないため、トレーニングの頭の方のセッションに組み入れるといった考慮が必要。

ゲーム形式では試合の状況に即した様々なスピード要素を複合的にトレーニングできる。当然最終的にはゲームの中で、技術的・戦術的状況下でのスピード能力を向上・発揮していくことが重要となるが、ゲーム形式のトレーニングではそのコントロール(スプリントなどの距離、動きやボールアクションの回数、予測・判断の頻度など)が非常に難しいという特徴がある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?