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神奈川県、公立入試オンライン出願Gmailが利用不可はあまりにもお粗末


神奈川県の公立高校オンライン出願

近年の受験においては紙による出願から、インターネットを利用したオンライン出願に多くの学校が移行しつつあります。

私が中高時代は当然ながら紙の願書による出願で、中学生のときに高校受験の願書を学校で一斉に、先生に丁寧に書くように注意されながら書いた記憶があります。

当然ながら大学入試も紙の願書を書いた記憶があります。

ところが時代は変わり、大学入試においてはすでに7、8年前からオンライン出願が広まっていました。3年ほど前からほとんどの大学で利用されるようになり、今年の受験においてはほぼ100%に近い大学がオンライン出願となっています。

一方で高校受験のオンライン出願はここ2、3年で普及しつつある印象で、公立私立を問わず本年度は多くの学校がオンライン出願に移行しているようです。

神奈川県においても本年度からオンライン出願をスタートさせたとのことです。

Gmailが使えないトラブル

そんな中で発生したのが、登録用のアドレスにGmailを利用していると確認メールが届かないというトラブルです。

こうしたトラブル自体は当然ながら一定数は存在するものであり、完全に無くすことは不可能です。

しかし、今回の出願システムにおけるミスは高校受験の出願の可否に関わるものであり、担当者やシステム設計者の責任はかなり重いと言わざるを得ないでしょう。

そもそもGoogleが提供するGmailは世界で最大数、15億人のアクティブ利用者を誇るメールサービスであり、Androidのスマートフォンを持っている人は必ず一つアカウントを持っているサービスです。

また、iPhoneユーザーの場合もWindowsPCとの併用の関係から利用者が多く、このメインのアドレスをGmailにしている人はかなりの数に上ります。

加えて川崎市などの神奈川県内の複数の自治体においてはGIGAスクールのシステムとしてGoogle for educationとChromebookを導入しています。

おそらくは学校一括でGmail経由で出願をしたケースもあったはずでしょう。

確認の不備

Gmailを利用できないとなると出願の確認を別サービスで新しくアドレスを作って利用することが必要となります。

場合によってはその段階でさらにトラブルに発展する(同様にシステム上で弾かれるなど)も考えられ、収拾までにさらなる時間が必要となる可能性もあるでしょう。

正直なところ、今回の事例は明らかにヒューマンエラーがその原因であり、確認不足が根本にあると言えるでしょう。

世界で15億人が使うメールサービスが登録段階で利用できない、加えて校内メールとしても利用する学校が複数存在するのにその確認をしていなかったことはシステム管理者だけでなく、教育委員会における担当その他のICTに関する知識や認識の不足は明らかです。

襟を正すこととチェック体制の構築

私の勤務校でも近年は出願にオンラインを利用しています。私自身は直接の担当ではないので確認をしたわけではありませんが、同様の事例が起こりうる可能性は考えられるでしょう。

またGoogle Formを用いたアンケートなどで共有や編集権限で外部の人間に見られてはいけないものが見られたといった事案が近年は増加しているようです。
(他校の事案などで、おそらく表沙汰になればマスコミ報道が入るレベルのものも多々あると聞きます。)

ICTの普及によって、便利になったがゆえに注意をする、慎重になることも必要のようです。

もちろん利便性に胡坐をかかずに襟を正すことは大事でしょう。しかし確認手順を不必要に増やせばICTの長所を失うことにもなります。

無理なくミスのないようなチェック体制を構築し、担当者個人のマンパワーに頼らない仕組みを作ることが必要だということを再認識する事件でした。

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